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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 47

内ラチいっぱい、由梨が目いっぱいに追うブライトアウェイ。
それに並びかけるグリーンラグーン。
ブライトアウェイは並ばれてもバテるどころか逆に盛り返してくる。

2頭のデッドヒートか、と思われたところに、大外からさらに2頭飛んでくる。
サンレパードとシルヴァーアッシュだ。
女性騎手4人の激しい追い比べにスタンドがドッと沸く。

サンレパードもシルヴァーアッシュも並んで一緒に伸びてくる勢い。
内で争う2頭に追いついたところがゴール板の前だった。

わずか50mの4頭並んでの叩き合い。
熾烈な叩き合いのままゴール板を通過。
馬をクールダウンさせながらも、誰が勝ったか分からないぐらいだった。

掲示板に上がったのは・・・
1位が碧、2位がなんと美月、3位が舞、4位が由梨だった。
全て着差はハナ・・・
誰が勝ってもおかしくないレースだったのだ。


そしてヤングジョッキーシリーズ3戦目。
ここまで碧が42P、由梨は36P、舞は30P、美月が35Pと女子4人で上位独占。
競馬新聞の今日の見出しにも『女の熾烈なる戦い』と銘打たれただけはある争いになってきていた。

そして第3戦は中央の二人が意地を見せる。
電光石火の差しきりで舞が1位、同じく差した美月が2位。
由梨は先行して粘ったものの3位。
碧は届かずの4位だった。

これで碧が54P、由梨は51P、舞は60P、美月が55Pと、最終戦までこの4人の誰が勝つか分からない展開となったのだ。


最終戦は中山の芝2000mで行われる。
碧にとってはジェイエクスプレスで挑むホープフルステークスの予行練習にもなる舞台だ。

騎乗馬抽選の結果、なんと上位人気馬に揃って女性騎手4人があたることになった。
最高の舞台が整って女の戦いラストラウンドを迎える。

碧がコンビを組むクラウンジェネシスは美浦のトップトレーナー、藤村和臣が管理する素質馬。
将来を期待されながら体質が弱く休み休みレースに使っている現状だ。

3歳空けからのデビューで、4歳馬にしてここまで6戦と言うキャリアが大事にしている証左であった。
いずれ重賞でも勝負になると言うのが藤村の言葉だった。
そして弱い体質も改善してきてると言う話で、乗る碧もホッとする。
ただ、素質はあるがズブい馬で加速までに時間がかかる欠点もある。
ステイヤータイプでスタミナを生かして乗って欲しいとレース前に藤村に言われていた。

中山競馬場の2000mは直線奥からのスタートの内回りだ。
この距離ではホープフルステークス、皐月賞のG1レースが行われる。
曲者はやはりスタートしてスタンド前の位置取り争い。
ダートよりスタンドが近い分、歓声はよりダイレクトに伝わってくるのだ。

馬の格で言うと、由梨のテイエヌドローンがそれに続く。
怒濤の上がりタイムを持つが、気性難かつ最後方からのレースしかできない不器用タイプだ。
そして美月のスティールブロウ、舞のセットアングルと続く。

いずれ劣らぬ素質馬だが、それぞれに問題点を抱えていて出世が遅れている、そんな感じなのである。

テイエヌドローンは極端な競馬しかできず追い込み届かないレースが続く。
スティールブロウはそれよりさらに気性が荒く昨年冬に去勢されている。
夏に復帰し徐々に着順を上げてきた。前走は福島の芝2000で3着。
セットアングルはデビュー直後はソエ気味でずっとダートを使われており、新馬こそ勝ったもののその後煮え切らない競馬が続いていた。
前回京都の芝1800で初めて芝を走り2着。

パドックで制止合図が出され、碧はクラウンジェネシスのもとへ向かう。
非常に落ち着いた、優等生のような印象を受けた。

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