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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 46

サンレパードは中団にすんなりつけれた。
馬もダートを嫌がってる風は無い。
逃げたのは由梨の乗るブライトアウェイ。
行き足をつける技術は上手いだけに、綺麗に逃げに持ち込んでいる。
こうなった由梨は手強い。
美月のグリーンラグーンは3番手、舞のシルヴァーアッシュは碧のやや後ろ。
女子4人はそれぞれが良い位置につけたようだ。

まずはメインストリートを通るが歓声が地方競馬のメインレース並みだ。
これは素直に凄いと思うが、馬がびっくりしないかと冷や冷やする。
サンレパードは幸い動じる事も無く、他の3頭も折り合いは上手くいっている。
そして馬群は淀み無く第1コーナーに向かって行った。

中山競馬場の注意点は、コース全体の起伏に富む高低差である。
この高低差がタフなコース設定となっている。
無論、碧からすればホームの方がタフだが、だからと言って無視して走らせはしない。

前の由梨を見ていると、彼女も起伏を意識してるのか坂でペースを調整している。
回りの中央のジョッキーの動きを見ているとそれは正解のようで、由梨が相当力をつけてきたからこそできているんだと碧を感心させるに十分だった。

ブライトアウェイにはまだ十分余裕があり、由梨は後ろの様子を気にかけながら仕掛けのタイミングを探る。
2番手にいた馬が後退し、美月のグリーンラグーンがじわじわと背後に迫る。
サンレパードとシルヴァーアッシュは徐々に外に出しながら追い出しを開始する。

そこで由梨に並びかけていく1頭…
ロングレインボー、鞍上は三河拓也だ。

これは戦術と言うより、余所者に好きにさせるかと言う地元の意地だろう。
それはむしろ地元意識の強い碧にも理解しやすい行動だ。
当然、由梨も分かっているだろう。
だが、由梨の本拠地は鉄火場川崎・・・
それぐらいで怯む根性ではやっていけない。
由梨はふんわりとした印象で女の子らしく見えるが、誰より負けず嫌いで気の強いタイプだ。
そうやって迫られればむしろ燃えてくるだろう。

由梨が競り合い上等とばかりに手を動かす。
勿論、大きな動きの割りに手綱を余らせてるから、その辺は逃げ上手の戦術だろう。
ブライトアウェイとロングレインボーの競り合いで、ややペースが上がりバックストレートへ。
碧はこの時点では動きを見せず、じっくりと周りの動きを注視するだけであった。

悪くない展開だ。
恐らくこのペースでもブライトアウェイの脚は衰えないが、サンレパードの感じだと直線で勝負できる。
碧なりにサンレパードの負けた前走2戦は研究している。
双方脚を余して届かなかったレース展開であった。

ぎりぎりまで追い出しを待って最後に突き抜ける。
どうせなら今のペースであれば直線一気でもいいだろう。

碧がそんな風に思っているとスーッとシルヴァーアッシュが近づいてくる。
どうやら舞も同じことを考えている模様。
(まあ同じだなぁ)
ちょっと苦笑する碧。

先頭が4コーナーを回り直線勝負。
余裕たっぷりに追う由梨。
早めに動いた分ロングレインボーの方が手ごたえが怪しい。

むしろ手応えがいいのは美月のグリーンラグーン。
やはり素質馬だからだろうが、彼女は上手く折り合いをつけている。
この馬の前走の敗戦内容は逃げバテ。
距離が長かったと言うより、途中でヒートアップして体力を使いきった感じだった。
その荒い馬を美月は上手く折り合わせている。
碧も折り合いには自信を持つが、美月の腕もなかなかのものであった。

直線に入った所でブライトアウェイにグリーンラグーンが馬体を合わせていく。
ヒートアップしやすいグリーンラグーンは反面闘争心が高い。
それを利用しての叩き合いだ。
しかし隣のブライトアウェイ・・・
いや鞍上の由梨の気の強さは半端ではない。
そして、彼女が得意とするのは自分の気合いを馬に伝える事・・・
荒い馬だとヒートアップし過ぎて失敗する事もあるが、逆にズブい馬を追わせる技術は4人の中でもトップだ。
こちらも競り合い上等とばかりに鞭を振り上げる。

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