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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 42

碧と舞の出会いは今年の夏ごろ、笠松でのYJS予選ラウンド。
そこでは互いに激しい接戦を繰り広げたのだが、そこでどうも懐かれてしまったようだ。

兄が兄なので妹は近寄りがたいプライド高そうなお嬢様と思っていた碧は拍子抜けしてしまったが、まあ性格がいいので懐かれるのも実際嬉しかったりする。

「アンタね、明日は一応ライバルなんだからねー」
「えっへへへ、碧さんと一緒のレースに出れるのが嬉しいんすよー」
「まったく」

「碧さんに特別、ここだけのとっておきの情報教えるっす!」
「何よ一体」
「まあまあ…あのですねぇ」
舞が碧に耳元で囁く。

「うぇええええ!?それマジ!?」
「マジです!兄貴から直接聞いたんで間違いないっす!!」

舞が碧に話したこと……翌朝からトレセン、競馬場はもちろん、日本全国でその話でもちきりとなる。

「諸澄巧、結婚」である。

「お相手はなんと!・・・あの風見百合香アナ!」
「マジでっ?!」

ビクトリー競馬のメインキャスターにして人気女子アナの風見百合香・・・
年齢的には諸澄巧と同じぐらいと聞いていたし、いくらでも接点はあるだろう。
それに全日本2歳優駿の取材を見ていると、どう見ても諸澄の応援だったし、あの視線の熱さは考えてみれば恋仲なのも納得できる。

「ああ、何かおめでたの話続きだわ」
「いいですよねおめでたい話って!・・・所で碧さんのおめでたい話は無いんですか?」
「今のところ無いかなぁ・・・あんまり考えれないや」

一瞬、頭の中に黒崎龍也の顔が浮かぶ。
彼と言う人間性は余り好ましい印象は無かったが、紗英の義理の妹と言うポジションは凄く欲しい。
特に紗英の婚約で疎外感を持っただけに余計にそう思ってしまう。

「舞ちゃんはどうなの?」
「ヴィングトールくんぐらいのイケメンなら考えますよ」

ヴィングトールは舞の所属厩舎の管理馬だ。
無論、あそこまでのクラスの馬に新人の舞は触らせても貰えないのだが。

「ヴィングトールの脚は大丈夫?」

「大丈夫ですよ・・・先生は無理してこの時期の冬のレース使うのが嫌だって言ってましたから」

本来ならG1だから目標となるレースの筈だ。
それを簡単に捨ててしまえるのが凄い話だ。
いや、それだけ来年のクラシックに万全を期したいのだろうし、3つとも勝てると見ているから捨てれるレースなのだろう。
流石は名伯楽糸居新太郎である。

「出れなくて残念ね」
「あら、ヴィングトールくんに勝つつもりだったんですか、碧さんは」
「やる前以上勝つつもりで乗るのが騎手じゃないかかな?・・・勝負を捨てるつもりはないよ」

それが本心。
次こそはあの馬を破りたいと思っていたから出て欲しかったぐらいだ。
この辺りのポジティブさも碧の長所であった。

そうやって碧と舞でキャッキャと話していると、相原由梨もやってきた。
彼女もヤングジョッキーシリーズに参加だが、南関東エリアが主戦場だから大井でも普通に騎乗している。
そして参加者の中での実績は碧に次ぐ。

「あらあら、仲良しさんですねえ」
「もうくっついてきたら離れないっつーかねー」
「碧さ〜〜〜ん」
「暑苦しいんだからくっつくのはよせ!後お前髪の毛色褪せてるぞ、それじゃ田舎のヤンキーみたいだ」
「うえー」

碧と舞のやり取りを見てクスクスと笑う由梨。
中央と地方の垣根こそあれど女性騎手は基本的にみな仲良しである。

「舞ちゃん、美月ちゃんは元気?」
「あー、あんまり一緒の場所で乗らないんで…ちょっと悩んでるっぽいですねぇ」

由梨が切り出したのは堀江美月。
舞が栗東、美月は美浦所属の女性騎手だ。

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