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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 30

そして本馬場へと向かう。

川崎競馬場は小さい。
1600mだと直線奥からスタートしてスタンド前を通過して、一周回ってゴールする。
小さいが直線が300mあり、碧の所属競馬場よりコーナーがきつい。
そして地方競馬の殆どかそうだが、先行勢が圧倒的に有利なのだ。
ジェイカーマインは幸いにも前の方で勝負する馬なので、その辺りは有利だろう。

本馬場に入り、ウォーミングアップをさせながらゲート前に向かう。
枠順は4番とそれなりにいい位置だった。

落ち着いてゲートに収まり、他の馬のゲート入りを待つ間は碧がタテガミを撫でてリラックスさせる。
由梨の騎乗馬・スプリングバレーが若干ゲート入りを嫌って時間がかかったが、やがて全馬が収まる。

スタート。
ジェイカーマインは抜群の飛び出し。
このままハナを切ってもいいが、碧は他の出方をうかがいながら内ラチいっぱいのポジションを確保する。

まずはスタンド前の直線を走る。
地方競馬とは言え川崎は賑わいがあり、スタンドからは大きな歓声が沸き起こる。

ハナ争いはジェイカーマインを交わした由梨が騎乗するスプリングバレー。
抜かし際に由梨が碧を見てニヤリと笑ったと言う事は、彼女が仕掛けて行く気なのだろう。
思い切りの良さは彼女の武器である。

ここは由梨のホームグラウンドだ。
例え平坦なトラックコースであれ、コース慣れしてるのとしてないのでは訳が違う。
川崎競馬場は直線距離を全体が狭い中でかなり長く取っている為にコーナーがきつい。
碧の本拠地の方がやや大きく直線も少し短いからコーナーに余裕があるぐらいだ。
もっと大きな中央の競馬場で普段走っている騎手達だと
、こんな小さな所での勝負は余り経験が無いだろう。

第1コーナーに差し掛かる頃には、スプリングバレーはジェイカーマインから1馬身程先行。
ややペースは速い。
直線はやや長いが、平坦コース故に速い時計決着に持ち込めると踏んだのだろう。

2番手争いはジェイカーマインと中央馬、ラストバラッドとエアタイクーンが並走する。
諸澄騎乗のアルビオンは碧からは確認できない後方だ。

第2コーナーに差し掛かる頃になると、スプリングバレーと2番手の差は2馬身と開いてくる。
これはかなり時計が速い。
碧はそのペースに巻き込まれまいと、己の体内時計を冷静に測る。
そして相棒ジェイカーマインの様子を伺うが、気持ちよく走っている感じだ。

馬混みに入ると闘争心を奮い立たせるタイプだが、ジェイアルトゥーベのような暴走するタイプでない。
逆にジェイアルトゥーベのような豊かなスピードや、ジェイエクスプレスのような切れる脚は無い。
だが、いい脚を長く使えて、競り合いに強い。
トータルバランスと言う面では、黒崎厩舎の2歳馬の中でトップだろう。
何としてもタイトルを取らせてやりたい気持ちが、この馬が一番強いかもしれない。

そしてバックストレート。
速いペースであるものの馬群は落ち着いてきていた。
位置取りは変わらず、先頭はスプリングバレー。

ジェイカーマインは2番手で折り合いながら先頭のスプリングバレーとの差を詰めていく。
並んで追走していたエアタイクーンが一緒についてくる格好で、ラストバラッドの方はまだジッとしている。

そこに、外から1頭まくってくる馬が。
エイワフラッシュだ。
前走の園田でのレースでも一気にまくって4コーナーを先頭で回ってきていた。

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