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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 29

地方競馬と違い、中央競馬はテレビ中継が全国ネットである。
碧のいる豆州湊競馬場も地元ローカルテレビで中継されるが、やはり全国ネットとなると華やかさが違う。
特にあの風見百合香アナは中央競馬の中継番組であるビクトリー競馬のメインキャスターであり、全国局でも看板とも言われる人気女子アナだった。

両親は芸能人で姉も女優。
そんな華やかな経歴で女子アナとなった彼女。
持ち前の知的な美貌で人気であった。
芸能人でも大御所となる父が馬主でもあった為、競馬に対する知識もあり、ビクトリー競馬でも豊富な知識で業界人の評価も高い。

「あれさ・・・諸澄のヤローが来てるからだろーな」

毒づくのは澤木忍。
彼女もこのレースで碧と対戦するが、普段は親しくできる間柄だ。
彼女の言うとおり、諸澄は中央から素質馬と共に参戦してきている。

「あれだよ、碧ちゃんもきっと取材されちゃったりするんじゃないかなぁ」
「まさかぁ!・・・地方競馬の騎手なんて取材対象じゃないでしょ!」

碧に競馬学校同期の相原由梨が話しかけてきた。
彼女もようやく重賞クラスの馬を任されるレベルになってきて、今回のレースも出走予定だ。

忍も由梨も他地区の所属ではあるものの、レディースジョッキーシリーズなので何度も顔を合わせるので交流があるし、レースではライバルだがそれ以外では基本的に親しい。

風見アナがインタビューする先には諸澄の姿。
若き天才はどこへ行っても注目されるものと思わされる。

「やっぱりなぁ。アイツに敵うって言ったら碧ちゃんくらいだよなぁ」
「私そんなでもないですって…」

全日本2歳優駿には、5頭の有力な中央馬が参戦する。

新馬・カトレア賞と連勝のアルビオン。
北海道2歳優駿を圧勝したラストバラッド。
兵庫ゴールドトロフィー2着のエイワフラッシュ。
初ダートだが芝で重賞勝ちのあるジェイズリーガル。
そして1戦1勝だが、新馬戦が派手な勝ち方だったエアタイクーン。


「今回、地方馬で対抗できるとしたら碧ちゃんの馬くらいなんだよなぁ」

「そうとは限らないと思うし、私は全力でやるだけよ」
「そう言うと思った!・・・まぁ、楽には勝たせてあげるつもりはないわね」

由梨はそんな風に笑って言うが、彼女はやる前から勝負を諦めるタイプではない。
天才肌の碧と違い、泥臭く食らいついてくるタイプの由梨だから、内心は一発食ってやろうとチャンスを狙うに違いない。

「あたしもここに遊びに来たんじゃないからね・・・諸澄のヤローが地方を荒らすのは気に食わないしな!」

忍はどうやら諸澄が嫌いのようだ。
弟が中央にいるからかもしれないが、過去に何かあったと思うぐらい毛嫌いしていた。

そして、時間が迫り碧達はパドックに向かう。
碧を待つジェイカーマインは、雰囲気は中央の馬にひけを取らない。
この馬も気性は荒い方だが、酷く荒い訳でなく、むしろ競り合いの時の勝負根性として出てくる方が多い。
つまり、実戦的な競走馬である。
能力こそジェイエクスプレスやジェイアルトゥーベに少し劣るが、レースの強さはジェイカーマインがトップかもしれない。

「今日はいつもよりおとなしいかも」
「頑張ってきます」
パドックでジェイカーマインを引いていた真奈美から様子を聞き、碧はその上に跨る。

ジェイカーマインは単勝4番人気。
地方勢では一番上の人気だ。

諸澄、忍、由梨もそれぞれ自分のお手馬にまたがりその時を待っている感じだ。

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