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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 27

グレードはR1からR4までで、その後ろに賞金別にAからCまでのアルファベットが獲得賞金を基準に割り振られる。
ランクの上昇は獲得賞金なので、未勝利でも獲得賞金さえあればランクが上がるシステムで、地方競馬ではよくあるものだ。
中央基準で言うと、R4が条件戦、R3が準オープン、R2がオープン、R1が重賞クラス的な感じだ。
そして同じクラスでもアルファベットの違いでハンデが変わると言うシステムでもある。

そして全てのレースにR表記があり、最高峰のR1戦をこの競馬場では重賞と呼ぶ。
唯一の例外が先程のなでしこウインターカップで、Jpn1のグレードなので実質この競馬場の最高峰のレースとなっている。

厩舎期待の2歳馬、ジェイエクスプレスだとランクはR1Aとなる。
中央重賞2着で2歳馬としての獲得賞金は最高額になったからだ。

そして新たに入厩してきた3頭は・・・
そこまで行く所かR4止まりだろう。

「なんだよー・・・勝てないのかよー」
「この時期に売れ残ってる馬ですから・・・感謝してますけど・・・」

口調の割りに龍也はそう残念そうでもない。

「でもまあ、碧ちゃんに乗ってもらえるなら、それはそれでいいか…俺は俺で、もっと強い馬探さなきゃな」

照れ隠しのように笑う龍也。
見た目はまあアレなんだが、その顔は純粋な少年のように見えた。

達哉が「俺はコイツに一番期待してる」と言って連れてきた2歳馬を見る。
黒鹿毛で馬格のある馬だ。

「名前は?」
「聞いて驚け、ブラックドラゴンだ!」
「あ、あー…」

亜沙美はあっさり聞き流す。
「黒」崎「龍」也でブラックドラゴン、ね。まあありがちだね、なんて思いながら。

「それにしてもでっかい子だね。500s以上絶対あるかも」
「ああ、一目見て好きになったよ」

「血統は……おおう」

手元にある資料を見て、里穂が唸る。

「ヴィクトリーソルジャーの仔だ」
「マジか」
美波も反応する。

ヴィクトリーソルジャー…10年前のアメリカ2冠馬。
「競走馬版アメリカンアイドル」と呼ばれたグッドルッキングホースで、2歳時からBCジュヴェナイルを勝つなど活躍、クラシック戦線の中心的存在として注目を集める。

翌年圧倒的1番人気でケンタッキーダービーに臨むが

・調整に失敗し大幅馬体減
・レース前日の大雨で馬場コンディション悪化
・レースは超スローペース、直線では何度も前が壁になり、挙句鞍上がムチを落とす

と、これでもかというくらい不運が重なり4着に敗れてしまう。

それでもプリークネスステークス、ベルモントステークスは名誉挽回ともいうべき圧勝で、アイドルホースとして君臨して見せる。
その人気ぶりはかなりのもので、競馬に全然関係のないアメリカの経済誌の表紙を飾ってしまうほど。

4歳時にはドバイワールドカップとBCクラシックを制し引退。
種牡馬としても当然人気を集めた。

そんな「アメリカ国民のアイドル」が突然日本にやってきたのは5年前。
御台グループが購入したのだが、ヴィクトリーソルジャーは種牡馬として致命的な問題を抱えていた。


…種付け、相手の繁殖牝馬に興味を示さないのである。
これには御台グループ総帥の吉岡輝樹も頭を抱えた。

まれに興味を示すのは栗毛、もしくは芦毛の小柄な牝馬。
産駒数は少ないながらも子供はコンスタントに走る。大物も出る。
残念過ぎる悪癖を持ったが故、生産者は苦悩した。

この性癖によりインターネット世界の競馬ファンからは「ロリコン」呼ばわりされてしまうのである。

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