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アイドルジョッキーの歩む道は
官能リレー小説 - スポーツ

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アイドルジョッキーの歩む道は 16

クラシック登録だけで200万するのだ。
浅岡家の財力・・・
いや樹里の小遣いの範囲で出せると言っても大金なのだ。
紗英も当然クラシック登録してほしいのだが、勢いで行かれるのはちょっとばかり困る。

「で、先生・・・あの馬に勝つ方法見つかりそうです?」
「無理ね、完成度が違うわ」

美波にそう聞かれて紗英は肩をすくめる。
ヴィングトール陣営の余裕は、まだあの馬が本気になってない事を物語っているが、恐らく2歳馬としては完成されて敵うものがいないだろう。
対するジェイエクスプレスは紗英から見ても底知れないポテンシャルは感じるものの、まだ馬が子供だ。
大器を思わせる図太さはあるが、まだまだレースを覚えている最中だ。

だが、次はもっといいレースができるだろう。
それだけの成長力はある。
ただヴィングトールに勝つのは相当難しいに違いない。

「中山のデータを見て戦術は考えるけど・・・まぁ、碧には先を見据えて乗りなさいと言うしかないわ」
「あら、弱気だね先生・・・一泡ぐらい吹かせてやりないとさ」

美波も強気な方だが、その彼女でも一泡程度しか言えないぐらい、あのヴィングトールの勝ち方はショックだったのだ。


その晩。
宿舎で碧は紗英に抱きついていた。
お互いに裸。
真奈美に匹敵する紗英の乳を碧が赤ん坊のように吸い付いていたのだ。

「もう、切り替えなさい・・・結果なんて変わらないんだから」
「だってぇ・・・」

紗英の乳から口を離し、甘えて蕩けるような声。
敗戦のショックもあるが、大好きな師匠に甘えたいと言う下心がありありと分かるような甘え方だ。

「今日は・・・せんせのおっぱい、チュパチュパしてたいぃ・・・」
「仕方ない子ねぇ・・・甘えん坊なんだから」

甘える碧に紗英も満更ではない。
碧が黒崎厩舎に来て三年だが、紗英にとって碧はもう妹や娘と同じ感覚だし、碧にとっても紗英は姉か母のようでもある。
ただ碧の方は、それ以上の関係でありたいと思ってる節がある。

碧は乗馬クラブには通っていたものの男中心の生活に飛び込んでくるなんて初めてのこと。
中学生までは一貫教育の女子校に通っていたと聞いて紗英ですら驚いたほどだ。
ちょうど黒崎厩舎が紗英に代替わりして女子中心のスタッフになったことで碧が入り込むのには絶好の環境だった。

「せんせ…」
「もう、今日のレース見ていた人たちが今の碧を見たらどう思うかしらねぇ」

少し虐めるように紗英が言っても、碧は甘い表情のまま紗英の柔らかい胸元に顔をすり付ける。

「いいもん・・・せんせのお嫁さんになるって言うから・・・」

碧の甘え声に紗英は微笑みながら、碧の髪を撫でる。
二人がこんな関係になったのは、碧が黒崎厩舎に来てデビューをして数ヶ月後。
今では考えられないが、その頃の碧は全く勝てなかったのだ。
理由は競り合いの弱さ。
馬体をぶつけ合いながら鬼気迫る地方競馬のレースに臆して追えずに負けが込んでしまっていた。
碧自身もボロボロで何時も泣いていたし、紗英の顔すらまともに見れないぐらい落ち込んでしまったのだった。

故に紗英は碧を怒る事も注意する事もしなかった。
逆に甘えさせた訳だ。
毎日、夜は共に寝て抱き締めて、碧を大事にしてると言い聞かせる。
そうやって得た信頼や愛情が、少しずついい方向に向かっていったのだ。

勝った時は思い切り褒めて、負けた時は叱ることなく慰める。
よく飴とムチ、というけれど、碧にはムチは必要ない、と紗英は考える。
それは美波や真奈美とて一緒の考えだ。

「せんせ…大好き…」
「はいはい…いつまでたっても手のかかる…けど、可愛くて仕方ない子ね…」

そのうち甘え疲れて碧は眠ってしまう。
紗英はその綺麗な黒髪を撫で続ける。

そうして夜が更けていくのだ。

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