水着部 4
「理由?そんなの簡単だよ、ほらそこで今日もヤってるじゃん」
情報通の男子部員が、個室の方のシャワー室を指指す。
個室からはシャワーの音に混ざり男子の絡み合う声が微かに漏れていた。
「OBに偉くなった人が居たんだよね。んで、その人とその人のお仲間が、権力の力で保護してくれてるわけよ。
代わりに女子部員の皆は、自分の身体を自慢するついでに、お相手してるみたいだよ。
変態の需要と供給が、見事に釣り合った結果だねー」
男子部員の説明一同は納得した。
それを聞いた大樹は、
「まさか叶も・・・」
帰り道、動揺する大樹に叶が声を掛け、
「どうしたの?」
「あ、あのさ・・・」
大樹が水着部の裏事情を知ってしまった事に気付くのだが、
「先輩達とかはそのお相手ってのをやらされているけど・・・」
実際にお相手ってのをやっているのは女子部員の3分の1程であり、
「私はどうも魅力が無いように思われているみたいでさ」
「そ、そんな事無いよ」
ある日、普段と同じように鍛えていると、
「岩屋、腹筋がだいぶ割れてきたな」
すると情報通の部員達が、
「女子が減った気がしないか」
「そうだな。部活に出てくるのは榊水、吉田、山井・・・」
しばらくして、叶達数名の女子部員達がやって来るが、何故か元気が無く、
「あの噂はあながちウソでもないようだ」
この噂は有名でこの辺り一帯の中学や高校に通う生徒なら一度は耳にする“都市伝説”だ。大樹としては何と無くだが叶が他の男と行為している所は見たくは無かった。
「水着部?あ〜〜まだ存在していたんだ」
地元名門大学一年である榊水 隼人は街角で偶然大樹と出会い近くのファーストフード店でこれまでの事情を聞いていた。彼も叶や大樹が通っている中学校の卒業生であるので噂は知っていた。
「まっ、お気楽な部活だしな」
「叶先輩は本当に……」
「さあな、それよりも気を付けろよ……夏合宿は」
「???」
「開放的になった女子達が、いつも以上に積極的に求めてくるんだ。
しかも避妊を二の次にな。
だから俺達、男がちゃんと面倒見ないと……」
大樹は先輩が止めた言葉の先を想像する。
女子に積極的に求められるのは、確か大変だがそれは嬉しい事でもある。
だがその先の責任を負うのは、まだ荷が重過ぎる。
万が一、出来てしまったらと考えると、嫌な汗が滲んできた。