PiPi's World 投稿小説

淫蕩王伝―再誕―
官能リレー小説 - ハーレム

の最初へ
 47
 49
の最後へ

淫蕩王伝―再誕― 49


昼頃、三人は王都リンドバーグに着いた。
豊は二人に尋ねる。
「さて、メローネ神殿と魔術アカデミー…まずどっちから先に行こうか?」
エリカが提案した。
「ここは効率良く別行動にしましょうよ」
「…というと…?」
「メローネ神殿の方にはもう話は付いてるんでしょう?ならユタカ君とセーラちゃんは先にメローネ神殿に行ってきなさい。私は魔術アカデミーに行って教授に事情を話しておくから」
「それ良いですね!」
「すいません、お願いしてよろしいですか?」
「まっかせなさぁ〜い♪」
エリカは得意げに胸を張り、ドンッと叩いて言った。
(おぉ…っ!)
その拍子にプルルンッと弾むように揺れる彼女の胸を思わず凝視してしまう豊。
(くっ…!)
それを見たセーラは言い知れぬ敗北感に襲われた(もちろん彼女だって歳の割には充分立派なサイズなのだが…)。

…という訳で豊とセーラは一旦エリカと別れて、メローネ神殿へとやって来た。
「へぇ〜、これが知恵の女神メローネかぁ…」
豊は聖堂の女神メローネの像を見上げて呟く。
メローネは松明(たいまつ)を持った右手を高く掲げ、左手には何やら文章の書かれた石版を抱えている。
神話によれば、彼女は遥か昔、まだ獣と同様の暮らしをしていた人間に火と法律を授け、文明を築いたという(松明と石版の由来はそういう事だ)。
そう言えばエイリア神殿で見た大地母神エイリアの像は麦の束を持っていたな…と豊は思い出す(彼女が人間に農耕を教えたという神話にちなむ)。
ちなみに、エイリア神が豊満な乳房に肉感的な体のラインも露わな衣…と、どことなくエロティックな姿だったのに対し、こちらのメローネ神は露出の殆ど無い衣に、胸元や腰回りなど女性的な部分が強調される事も無く…エイリア神とは異なり中性的な印象の女神であった。
「やっぱ知恵の神様ってだけあって大地母神のエイリアとはちょっと雰囲気違うよねぇ…何て言うか…全体的にスレンダーだし…ねえ、セーラさん?」
「えっ!!?ス…スレンダー!?」
なぜかそのワードに対して過度に反応するセーラ。
「…?」
「(うぅ…やっぱり男の人は胸の大きな女性の方が良いのかなぁ…)はぁ〜…」
自分の胸に手を当て、持ち上げ、そして溜め息をつく…。
「…どしたの?」
豊は何が何だかサッパリ解らなかった…。
そこへ、若い女性神官が二人に歩み寄って来て声を掛ける。
「あの、ひょっとしてセーラさんとユタカさんではありませんか?」
「あ…はい!そうです」
「あぁ、やっぱり…エイリア神殿のベクセル高司祭様から話は伺っています。司祭長の元へご案内いたしましょう。どうぞこちらへ…」

二人はメローネ神殿の司祭長の部屋へと通された。
「初めまして、司祭長様。セーラと申します」
「僕は大槍豊です」
「こんにちは、セーラさん、ユタカさん。私がメローネ神殿の司祭長、サフィーアです」
意外な事に司祭長は若い(と言っても三十代半ば程の)女性であった。
切れ長で理知的な瞳の美人だ。
セーラは言った。
「サフィーア司祭長様、私達はそれぞれメローネ神の叡智を授かりたくやって参りました」
「ええ、話はベクセル殿から聞きました。そちらのユタカさんは異なる世界から来られたそうですね」
優しげな微笑みを浮かべつつそう言いながらも、豊の方を見て興味深げに目を細めるサフィーア司祭長。
「そ…そうなんですよ。僕、こことは違う世界から来ちゃいまして…どうも…」
美人に見詰められた豊は、思わずドキッとして頬を赤らめ、照れ隠しにポリポリと頭を掻く。
(もう、ユタカさんったら…鼻の下伸ばしちゃって…相手は神殿の司祭長様ですよぉ…?)
どうも惚れっぽいというか…困った人…とセーラは思い、肩をすくめて小さく溜め息をついた(もっとも豊の容貌が一見ハッとするような美少年であるという事もある。女性を惹き付ける不思議な魅力とでも言うのか…そういう物が彼にはあった)。
一方でセーラは心の片隅では戸惑いも感じていた。
豊が他の女性に見とれていたりすると胸がキュッと切なくなる…この感情は、一体…?
そんな彼女の内心を知ってか知らずか、サフィーアは穏やかに微笑みながら二人に言った。
「それではお二人とも、参りましょうか。メローネ神のご神託を賜りに…」

二人はサフィーアに伴われ、再び聖堂にあるメローネの神像の前にやって来た。
豊はサフィーアに尋ねる。
「えっとぉ…僕らは一体何をすれば良いんでしょうか?」
「…祈ってください。心を清らかにして、あなた方の知りたい事を女神メローネに問うのです。…その想いがメローネに届けば、私を通して答えをお授けくださるでしょう…」
そう言うとサフィーアはメローネの神像の前に膝を付いて頭(こうべ)を垂れ、祈りを始めた。
ユタカとセーラもそれに倣う。
「…メローネ神さま…僕が元の世界に戻る方法を教えてください…教えてください…教え…」
「ユタカさん、声に出さなくて良いんですよ。心の中でお祈りしてください」
「あ、そうなんだ…ゴメン…」
セーラに突っ込まれて謝るユタカ…しかしてその時、三人の頭の中に何者かの声が聞こえた。
『…テルスから来た者よ…』
「「「…っ!?」」」
三人はハッとして顔を上げた。
声は目の前の神像から発せられているように感じられたからだ。
不思議な光景だった…聖堂の窓から射し込む光が神像を照らし出し、まるで像自体が眩い光を放っているかのようだ。
「メ…メローネよ!!あなたなのですか!?」
サフィーアが神像に向かって呼び掛ける。
再び声がした。
『…テルスから来た者…異界の光よ…そして彼を導く者よ…イシュタルの地へ行くのです…そこで貴方達は己が為すべき使命を知るでしょう…』

SNSでこの小説を紹介

ハーレムの他のリレー小説

こちらから小説を探す