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先祖がえり
官能リレー小説 - ハーレム

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先祖がえり 193

そして

「た、大変申し訳ございません!!知らなかったとは言え、なんと無礼なことを・・・!!」

先に行動したのは加奈であった。何度も何度も頭を下げる。

「私も・・・本当に申し訳ございませんでした!まさか、刃を向けるとは・・・お許しください!!」

続けて里美も頭を下げる。特に里美は明美の命を狙ってしまった。そのことが心にあるのだろう。

明美はしばらくその様子を見ると

「・・・加奈さんと・・・里美さんね?」

二人の名前を確認して

「いいわ。大丈夫、気にしてないわ。あなた達は、この子を守ろうとしたんでしょ?だったら仕方ないわ。」

笑顔で許しの返事を出す。

「「あ・・・ありがとうございますっ!!」」

二人は顔をあげると目に涙を浮かべながら、再度頭を下げる。

留美はその様子を見ると、本題に入ることにした。

「・・・それで、明美さん。どうして急に来たんですか?叔父さんは・・・」

「ああ・・・あの人はまだ海外で仕事しててね?今南米とか言ってたかしら・・・」

「はぁ・・・」

「それで、向こうでの仕事が軌道に乗り始めてね?そしたら今までろくにこの子に母親っぽいことしてないなと思って・・・」

そう言うと明美は自分に抱かれて眠る我が子に向けて申し訳なさそうな笑みを浮かべる。

「・・・だから、私だけでもこっちに戻って来て、これからは今まで出来なかった分、めいっぱい母親らしいことしてあげようと思って・・・」

「・・・そう、ですか・・・」

留美はその話を聞いて少し難しそうな顔をする。

明美はその表情を敏感に察知して

「・・・そうね。今までこの子をほったらかしにして、今更母親だなんて・・・無理よね。」

悲しそうな顔を浮かべ、俯いてしまう。

そして、しばらくそのままでいた後

「・・・ごめんなさい。やっぱり無理よね。・・・うん、わかったわ。私はこの子をもう一度抱っこ出来ただけで良いわ。」

そう言うと留美に近づいて

「はい・・・ごめんね、留美ちゃん。力になれなくて。私・・・帰るわ。この子のことよろしくね?」

狐太郎を預け、出て行こうとする。

「・・・帰る?」

どこにだろうか・・・留美は気になって聞き返していた。

「ええ。あの人のところに。その後は・・・わからないわ。」

「・・・また、来るんですか?」

「・・・あなたはそうは思ってないでしょ?大丈夫。この子のためならなんだってするわ。例えそれが、『二度と会わない』ってことであってもね。」

「・・・・・・」

「どうやら、あなたも私の事よく思ってないみたいだし。大体そうよね。今更どの面下げてって感じよね。それに、今この子の母親ぶってもこの子が困るだけよね。」

「・・・それはっ」

留美は明美の言葉に返事をしようとしたが

「さぁ、私そろそろ行くわ。留美ちゃん、最後のお願いよ。どうかこの子を守ってちょうだい。」

そう言って狐太郎をさしだそうとする明美。

留美は複雑な表情を浮かべたが、ゆっくりと腕を伸ばしてくる。


しかし


「・・・んん〜・・・」

明美が狐太郎を渡そうとした時、狐太郎が小さく唸り

「・・・いやぁ・・・」

そう言うと明美の服を握って放そうとしなくなってしまう。

「・・・こーちゃん?ダメよ・・・私は一緒には居られないわ・・・だから、放して・・・ね?」

明美は寝ぼけている狐太郎に言い聞かせるように、狐太郎の手を放させようとする。

だが

「・・・んん・・・んんぅ〜・・・」

狐太郎は放そうとしないどころか、さらにきつく握りしめてしまう。

「困ったわね・・・留美ちゃん、悪いけど引っ張ってくれない?放してくれないから・・・」

明美は申し訳なさそうに留美に頼む。


すると


「・・・・・・出来ません。」

留美は小声でそう呟くと伸ばしていた腕を降ろしてしまう。

「・・・留美ちゃん?ほら、早く。この子起きちゃうわ。」

「出来ませんっ!!」

明美の言葉に留美は顔をあげて否定する。

その目には涙が浮かんでいた。

「・・・留美ちゃん・・・」

「どうして・・・二度と会わないだなんて・・・いくらこの子のためだからって・・・」

「・・・・・・」

「あなたはこの子の母親でしょ?!なのに・・・どうして・・・」

明美の発言の意味が分からない留美。

自分でも狐太郎と二度と会えないだなんて到底耐えられるものではない。

それが我が子であったらなおさらだ。

だが、目の前の女性は辛そうな顔一つせず二度と会わないと自ら言い放った。

それが分からない。なぜそんなことが言えるのか。

そうも簡単に我が子を手放すのかと思えば腹立たしくもあった。

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