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武は震える指先を堪える。
そして気を落ち着かせようと頭の中に、振り付けは忘れてしまったが、ボーイスカウトの卑猥ソングを思い浮かべる。
…る〜る〜るるる〜…
アィイッ!
アフリカのッ!
ジャングルにッ?
バナナが一つ〜?
…る〜る〜るるる〜…
「…あった…」
振り付けは忘れてしまったが、ボーイスカウトの卑猥ソング、完全なるマンゴー編までには至っていない。
バナナと言う程被っちゃいない、松茸と呼んでもハッタリではない…そんなご自慢の息子がチン座していた…今の所。
とりあえずトイレを出た武、オマジナイ程度で女のコにされてたまるか!と憤りを抑えて教室に向かう。
教室に戻ればもう会長はいなく、クラスメイトが授業の準備をしていた。
武が席に着いて机に手を突っ込むと教師が入ってくると同時にチャイムが鳴った。
気のない号令に抑揚のない教師の挨拶。
殆ど教科書を読みあげと、殆ど教科書の板書で授業が進む。
武は(先生達は特に何も聞いてないのか?)と思う。授業が終わって先生が出ていくときも教師の武を見る目はいつも通りだったような気がした。
一日の授業が終わり、武は学園の男子から逃げるように帰宅した。
「はぁ〜。同じ男として情けないやら何やら…」
自室に戻り鞄を机に投げてネクタイを外すと自分の体をベッドに飛びこむように倒れ込んだ。
「しかし、どうしたんだ俺の体?」
ベッドの上でモソモソと制服を脱いで椅子の背もたれにかける。
学校での精神的疲れから母親が夕飯だと起こすまで僕はそのまま眠ってしまった。
夕飯の席でも武は体のことを切り出せず部屋に戻るとPCを起動させた。
ー両性
ー雌雄同体
ーアンドロギニュス
ー半陰陽
…
「なんか一番肝心なところが抜けてるんだよな。突然なる物ではないとか、治療するならまず何科とか」
まず外科なのか、外科だって何の外科なのか、それとも精神科に行くべきなのかと、かゆい所に手の届かない情報に武はPCをスリープ状態にさせた。
「はふぅ」と溜息混じりの伸びをして背凭れに背中を預けて天井を仰いだ。
「取りあえずできることをするか」