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風呂をあがると明日の学校の用意を済ませ、PCに向かう。
一日中寝ていたせいで眠気がこないので暇つぶしにファイルを表示する。
「暇なら勉強すればいいのにな」と一人つぶやきながら新しい下ネタソングのネタを探すが、ほとんど披露したものばかりだった。
「皆考えること同じなんだな」結局たいした成果は上がらず次の日を迎えた。
学校が棚井の話でもち切りだった。
教室に入るとクラスメイトが一斉に武の元に集まった。
「どうするんだ?武!あいつボコるか?」「お前にその気がなくても俺達あいつぶっ飛ばすぜ!」「心配するな武。お前は俺が守る!」
ムサイ男子達がいっぺんに殊勝なことを喚くので何を言ってるのか聞こえないが大体何を言っているのかは理解できた。
武は男子を掻き分け自分の席に鞄を置くと男子達を見渡す。
武の視線に男子達は静かになった。
「1つ言っておくよ。棚井に暴力を振るったらただじゃおかない」
武の言葉に男子達は耳を疑った。そしてまた男子達の疑問を乗せた言葉が被さり合いながら教室に響いた。
「皆があいつと同じレベルになる必要はないしなって欲しくない。心配しないで。それなりの措置は考えてるから。だから…あのバカのために業を背負うようなまねはしないでくれ。以上だ」
武はそう言うと廊下に視線を向けた。そこには生徒会長がいた。
「おはよう紫藤君。君が理性的な人で助かったよ。もし君が棚井君を私刑にかけると言ったらどう説得しようかと昨日は眠れなかったよ」
「会長、提案があるんです」
そう言うと武は鞄から封筒を取り出して生徒会長に差し出した。
会長はそれを受け取り中身を出して読むと顔が曇った。
「それ、実行できますよね?」
「確かにできるが、これは…」
「下手に禁止するよりは効果あると思いますよ」
「むぅ、しかし…。分かった。検討しよう」
そう言うと会長は便箋を封筒に戻し胸ポケットに収めると教室を後にした。
「武。アレにはいったい?」
「棚井が来たらのお楽しみだ。だからリンチなんかするなよ?」
「ああ。分かった。お前に考えがあるなら俺達は手を出さない。で、だ」
さっきまで殺気走った目をしていた男子達は落ち着きを取り戻していた。