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第二次性徴変性症
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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第二次性徴変性症 96

その視線は二人だけでは無く他のモデルも注目する……巨乳であるが同性でも引き付ける魅力を持つ。
「専務、あのこが例の」
「ええ、この前までは少年だった子……襲ったらダメよ。顔平然と狙ってくるからね、リーナの様に」
ガウンを着た成人女性は頷く、あの時は本当に冷や汗が出た。小学生女児とは思えない重さの突きが来たのだ。
「下着や水着のみなんですね」
「レイヤーとしても一作品のみって……家の都合ですか?」
別の成人女性は下着姿でアキラのプロフィールを見て尋ねるとトスカは頷く。
「それもあるし、何より玲は今の生活を崩したくない」
「こんな美少女なのに?」
「……コミック市場での事件の被害者の一人なのよ」
「「あの事件の……」」
モデル業界にも激震が走っている最中で中でも以前から色々と怪しい噂がある数人が突如として雲隠れしている……。
「度胸だけはあるわね」
「責任感があるのよ……あのこは」
トスカは本当に玲の今の心情は分かる、恐怖心があるのだ。



その頃、歩は所属事務所内にある私物入れにしているロッカーからスーツケースを取り出していた。移籍する事は既にトウキョウガールスの各メンバーに通達済み、これは歩は研究生であったが時折レギュラーメンバーのスケジュールが都合付かなった際に代理で番組に出演していた事もありそれなりに知名度があり、次の選挙では当選するとも言われていた。そんな矢先の事務所移籍&アイドル引退……ファンは阿鼻叫喚状態が続き掲示版や公式Lトークに抗議の書き込みは絶え間なく続く、悪質なモノは既に警察に通報済みである。
「……無駄になっちゃった」
ロッカーの扉に貼られたプリントを見て思う、アイドルに必要な事を教えてくれたレッスン各種の先生方にも挨拶を済ませた、全員歩の事は見込みを持っていただけに引き留めようとしたが状況的に言えば無理、不信感を持ってしまった歩は表情も暗く泣かない様にする事が精一杯と分かる。
今回の一件でトウキョウガールスの活動終了と言う噂が現実味を帯びている、運営と各メンバーが所属する事務所内の対立やらメンバー同士の対立が鮮明になった……こんな状況ではアイドルとして活動は出来ない、歩はスーツケースを開けてロッカー内にある私物を入れる。
「片付けに来たのか?」
ロッカールームから出ると中年の男が立つ、マネージャーであるが如何にもデキる男と雰囲気だが評判は良い事は聞かない。
「はい、お世話に……」
「まだおわってないんだよ、なあ?今からでも」
「おわったんだよ、五十崎……」
先代社長は五十崎の襟首を掴むと壁の方に転がし、歩の前に立つと言う。
「先に行っておけ、俺はコイツと話がある」
「はい」
歩はスーツケースを引いてその場から去る。そして先代社長は五十崎の頭の横にある壁を蹴る。
「最終的にあの子もAV監督に渡すつもりか?」
「ち、違う!」
「もう、裏は取れている……これまで事は穏便に済ませてやった、その代わりに絶縁状を出している」
眼の前に見せられたのは解雇通告の書類でもあり同時に芸能界に二度と仕事が出来ない事を意味していた。
「老いぼれに何がわかるぅ」
拳を振り上げた瞬間先代社長は持っていた杖を打ち付けた。鉄芯入りだ……若い頃は殺陣で斬られ役をやっており今でも体を鍛えている事に変わりがない、鈍い音が響き磯崎が倒れた。
「……失せろ」
脳天は避けただけでもありがたく思え、先代社長は肩を回した。



「後は頼む」
「はい」
地下駐車場にて巧介が迎えに来ていた。暫くはブンヤが騒ぐので神山が有する里山にあるログハウスに匿う事にした。
「お世話になりました」
「本当に済まない」
先代社長は深く頭を下げた。



「映画!」
「端役だけどね、歩は演技にも定評があるからトウキョウガールスの運営もドラマ出演させる計画をしていた。その映画が神山さんの出世作である“トラッカー野郎 陣”だ」
確か昭和の映画史に残る名作であり神山さんは当時は三枚目のトラッカー役で全シリーズ出演している。主演俳優やマドンナ役、監督らも鬼籍になって節目を迎え神山さん自身も大御所とあって再び企画された訳だ。
「私、ドラマにも出た事ないわよ」
「昨年24時間チャリティー番組内のドラマに出ていたじゃん」
「あれはトウキョウガールスばかりだし」
「……モデルやレイヤーだけじゃ厳しいからな、まあ共演する役者のみんなも歩の事情は把握しているから……神山さんもこの映画の仕事を受けた当時少し前に相方を失っているんだよ。事故でね」
深夜で交通量が途切れる峠道でハンドル操作を誤って転落、発見された時には既に死亡していた。携帯電話がSFの世界の道具と言うのが当たり前の時代の話だ。
「恐らく重なったんだろうな、あの時の自分と今の歩を……端役と言ってもガッツリでるからな」
「……」
脚本を読んだ歩は正気に戻る。


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