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第二次性徴変性症
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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第二次性徴変性症 47

緑芝ホールディングスの前身である緑芝電機は自動車関連の電子部品も手掛けている……三沢市は炭鉱で栄えるも陰りが見え始めると楠瀬本家は直ぐに炭鉱に代わる雇用してくれる企業を探し、ちょうど東京郊外にて工場が手狭になった三沢自動車は新たなる移転先を探していた所で巡りあい意気投合、石炭産業はまだ継続できると信じていた方が多かった時代に三沢自動車は三沢市に移転、そして緑芝電機も自動車のライトやら配線を手掛けていた関係上移転……そんな時に楠瀬分家が炭鉱鉄道から手を引いて貨物自動車による運送業を起こした。言わば閉山に伴う失業対策と言う名目だった訳だ……そして炭鉱は衰退したのは石油がエネルギーの主役になり、各炭鉱ではしわ寄せによる各種事故が頻発、三沢炭鉱も大規模な落盤事故を起こし犠牲者は三桁に到達……数年後には閉山した。
「(思えば先見の明があったな)」
島も感心する程だ、三沢自動車は自動車メーカーとしての地位を築き本社工場や関連施設で多くの雇用を生み出し自動車部品を製造する各企業も移転した。
緑芝電機も三沢自動車本社工場がある工業団地に工場を集約させており、今では研修と研究開発施設としているがかつては家電も生産していた。三沢自動車本社工場が移転した地域は田園風景が広がっていたが徐々に工場が増え始め炭鉱閉山当時になると何時の間にか工業団地化しており道路網も自然と整備……緑芝電機も自動車関連部品のみならず家電工場も移転させた。島はその頃にサラリーマンとしての実績を残しており後に取締役を歴任している。
「歩……」
「きにしてませんよ、出版社にだいぶ無茶苦茶させてますから……」
「家族とは話しているのか?」
「ええ、みんな好き勝手しますから」
兄の結婚式が一昨年ありその時は高校卒業以来と言うから島も呆れた、思えば大学進学もしなかったのはそれなりに文部科学省への反抗とも思える。両親も兄も妹も何も言わなかった……。
歩は女子高時代に官能小説家としてやっていけると確信した後にライターもする様になりゴーストもやっている……それは自分を意味が無く虐めていた者を放置した社会への当てつけかもしれない。各種推薦資格剥奪され一般受験に全てをかけるしかなく余裕だった高校生活が苦境に陥ってしまい数人が自主退学に……これが歩を虐めていた生徒では最悪の末路で志望校を変更した生徒も居た。
「今の学生はちゃんと理解していますよ、変性症の事。島さんらのおかげでしょうね」
「っ、文部科学省の連中も危機感を持っていたからな……」
島は夜空を眺めていた。



「で……その仕事もする事になったと言う事か?」
玲は頷くと将はビールを呑む……。
「女性の下着は高くつく事は知っているからな……人様に迷惑かけない様に」
将も日菜子と交際してから女性下着の値段に目を丸くした。
「玖崎 柚?ああ……あの人のもう一つの名前か」
帰宅していた正弘は部屋から持って来た小説を見せる。
「兄さん、この蘭 三月って言う作者の小説って?」
「官能小説……篝が親父のアカウントで手に入れた奴さ」
内容はくノ一凌辱モノでボディースーツの様な衣類を着た少女が描かれている。
「でも伯父さんは玖崎先生って言っていたけど?」
「玖崎はライターでも使っているって言う事さ……本名を明かさない為に名刺もしているのだろうね、彼女も変性症なんだよ」
「あっ……」
「兄が言うには学生時代はあまり良い思い出が無いらしくってね……大学にも行ってない、ただし文章の魔術師って言う位に天才の類で一般文学でも通用するそうだが……」
「官能小説にしたのは彼女なりに反骨したのだが……」
ラノベ作家は予想外だったらしい……最も彼女は緋刀学戦記を数巻で終わらせる予定であったのだが予想に反して続編が続いている。
「彼女はイベントに出ないのも……」
「学生時代のトラウマさ、虐めを受けていたからね……進学校で相当なストレスを抱えている生徒が多く、そいつらのサンドバックにされた。変性症になって復学の検討もされたが、学校側はリスクが大きすぎると判断し玖崎先生の保護者も理解、仮に玖崎を無理に通学させて取り返しがつかない不幸な事態になれば教師の解雇で事足りる訳でもない、虐め加害者の処分も停学の一歩手前になったのも学校側の誠意だろう」
将はヤレヤレと思う、玲が変性症になっても問題無く引き続き中学校に通えると言う事実は少し前まで言われもない差別を受けた変性症患者の存在があるからだ。
「で、どうしてバラすのかんぁ?」
篝が背後で震えており将と玲はソッとその場から離れ数秒後、見事なコブラツイストをかけられた正弘は必死に弁明していた。

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