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第二次性徴変性症
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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第二次性徴変性症 103

仁がスカニアから降りると同時に大型トレーラトラックが後方に停車しドライバーが降りてきた。髪は金髪にしているが根が良い方でイベントにも顔を合わせている。
「楠瀬社長、おはようございます」
「瀬川かぁ……ここ地元だったな」
「ええ、あっ気にしてませんよ。重量物運搬乗りだったので」
トレーラは一般的なウィングボディで雑貨なんかも運ぶ。この先にある商業エリアに行くつもりだろう。
「これから現場搬入ですか?」
「直進バック800m……」
瀬川 迅もトレーラ乗りなので仁の表情を見て察した……時折難しい搬入先にぶち当たる事もあるが建機/重量物運搬はその傾向が高い。
迅も経験しているので難しさは分かる、今回は早朝であるのが救いだ。これが日中なら渋滞必須である。
「解体工事用ですか?」
「そうさ、ん?」
先程のエキゾーストノズルとサイレンの音が聞こえて来た、山間部に位置するので響くのだ……どんどん大きくなっているのは近づいている。道の駅に飛び込んで来た高級スポーツカーを猛追するパトカー、二人は納得する。WRCにも出ているスポーツセダン。この様な場所ならパトカーの方が有利だ。それでも停車する事は無くアスファルトにタイヤ痕を描いた高級スポーツカーはコントロールを失い横滑りの状態になり迅の大型トレーラトラックの後部に激突、エンジンが過熱していたのか発火、警察官も駆け寄る。
「!」
仁は直ぐに消火器を取り駆け寄り、迅はトレーラのランディングギアを電動で作動せてトラクターのエンジンを始動、ケーブルを外すなりトラクターを移動させた。高級スポーツカーを見るとエアバックが作動したのかドライバーは埋もれている。警察官が救助を試みる。仁は消火器から消火剤を噴射する。火の勢いが予想以上に強い。
「荷物は!」
「ないっす!」
彼も消火器から消火剤を噴射するも火の勢いが強い。
「ヤバイ……」
仁は最悪の事態を脳裏に過るが警察官を押しのけて手早く救助した男性数人……警察官は怪訝な顔になるが手帳を見て敬礼する。非番の消防士だったのだ。
「こうなると消火器じゃ無理だ……追突されたトレーラの持ち主は?」
「自分です、空荷だけど補助器具が……」
消防車のサイレンが聞こえたが炎はトレーラに延焼、仁も愛車を移動させた。


「映像記録提出ありがとうございます」
「いえいえ、事情聴取を後にして貰って……申し訳ないです」
建機の搬入を終えた後に警察官に早朝のドラレコ記録を提出した仁……結局迅のトレーラは全焼扱いになり事故車は骨組みのみに……中古とは言え恩人から受け継いだトレーラの全焼に迅は頭を抱えた。

今後の仕事に差し支えるのだ、事故後仕事仲間や同僚が駆け付けて事故車両の撤収は済んだが……仁も社長になった直後に社員が乗るトラックが渋滞最後尾に停車していたが追突されて全焼、カスタム化を始めた矢先に起きたから加害者に詰め寄り社員らに抑え込まれ事もある。渋る加害者や弁護士も白旗をあげる程に。
「楠瀬さん、今後も必要になれば話を聞きにきますが?」
「構いませんよ、社屋に居る相談役に話して貰えると」
仁はため息をついた。

「加害者の身元分かったんですか?」
「判明してますね、動画配信者の間で有名な方でしてね、現場も先程まで修羅場でしてね……」
仁は直ぐに察した、あいつらは撮影するからなぁ。迅が所属している運送会社も若い頃には不良をしていた方が多く拳の一つは飛び交ったな。警察も追跡断念の判断を誤ったと言ってきたらしい。迅も帰社したが今日は仕事終了……。


「じゃあ、今日はあがり?」
事故の一報を聞いた同居人女性はやつれた迅を見て言う。
「“こんな状態でハンドル持たせるか”って社長に言われてね……鈩さんも現場に来たよ」
迅は帰宅するなり酒を呑む、怒りが収まってない証拠だ。鈩さんとは迅にトラックドライバーのイロハを教えた方で数年前に正面衝突事故に巻き込まれ怪我の後遺症により引退している。

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