すると真央が、
「葵くんも、１年もすれば立派な男の身体になるよ」
葵は１年以内に身体が完全に男性化すると医師に告げられていた。

「次は、希ちゃんの新しいレジャー用の水着を選びましょうよ」
真央が言うと、
「よし。じゃあ、こんなのどうだい？希ちゃん」
葵がそう言って希に勧めたのはピンク色のビキニだった。
「葵さん」
「僕も高校生になったらビキニを着たいと思ってたんだけど、この通り、男になっていく身だからね」

「希ちゃん」
そこへ翼が姿を見せた。
「翼ちゃん」

「その水着、希ちゃんによく似合うと思うよ。私も新しい水着を買いに来たんだけど…」

そこは学校のすぐ近くにある、Ｋ大学及び附属小中高で着用する制服や水着、運動着などを扱うアパレルショップだった。
希はそのピンクのビキニを試着してみた。

「うん！やっぱりよく似合ってるな」
葵はピンクのビキニ姿の希を見つめながら言った。
「翼ちゃんにはどんな水着が似合うかな？」

すると葵が、
「こんなのはどうだい？」
そう言って示したのは鮮やかな黄色のビキニだった。
翼は葵が勧めたそのビキニを試着した。

「うん！２人ともよく似合ってる。河愛いよ」
結局、希も翼もそれぞれ葵に勧められて試着したビキニを買った。

「葵くん、本当は自分が着てみたいと思って、希ちゃんや翼ちゃんに勧めたんじゃなくて…」
真央が言うと、翼が、
「葵さん、女の子のほうがいいとは思いませんか？」



「どうしてそんな事・・・」
「翼ちゃん、女になる前にいじめを受けたせいか、男子を避けがちだよね。」
「希ちゃんもお兄さんとか以外の男と接しようとしないじゃない。」
「あ、葵さんは大丈夫かなと思うよ。」

希の思いもよらぬ発言に葵は、

「の、希ちゃん、それって・・・」

恥ずかしがる希と葵を残して真央と翼がベンチに座ると、

「希ちゃんが葵さんが好きだったなんて・・・」
「こればっかりはどうこう言ってもしょうがないよ。」
「真央さんとか希ちゃんとかみたいに男を好きになれる気がしないな。」

そこへ優がやって来て、

「希ちゃんがね、ちょっと意外。」
「優さん、綺麗ですね。」