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女学園の王子様
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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女学園の王子様 10

学校とキャラバンとの往復位だし、キャラバンの近所には商店街があったし何よりも全員で御出掛は年に数回位……彼女も小学校時代は古い防犯ブザー位しか持たされてない。同級生がキッツスマホやケータイを持ち歩く中でも歩は気にしなかった。親も家庭も存在しない孤児には必要が無いからだ……昨年の春先に不審者もしくは児童を狙う性犯罪者が出没事例が相次ぎ防犯体制が脆弱なキャラバンの子の事に学校側も困り、仕方なくキッツケータイ導入するように園長に迫った事もあるが同席した歩はこんな事も言ったことがある。


“私達が最悪な事態になっても困るのは見捨てた両親の其々の実家ですから……みんなクラスメートの自宅に行った事ないんですよ……変に子供達に友情とか言ってもその親が私達を避けるんですからねぇ。中学受験に差し支えるからって言われた事もあるんですよ”
これには大人達も衝撃を受けた……虐め問題になっていれば取り返しがつかない事態にもなりかねない。キッツケータイ導入を迫れる空気もなくなった。


「駅ビルにある大きな書店なら……」
「ありがとう」
「あの、一人で行くのですか?同行します」
ユカの申し出を断ると色々と煩いので了承した。

「うん、なんとかなりそう」
参考書を買った歩はホッとする。
「あの私服とか小物とかは……」
「持ってきたモノだけで十分」
「……そ、それではダメです。櫟家や宇都宮家の体面も考えて貰わないと」
手にはしっかりティーンズ雑誌、しかも付箋が付いているしいつの間にか電動運搬カートが隣に……これも最近になって普及している道具で買い物弱者支援で自治体が揃える話もあるとか……。
「体面ね……」
歩はそう言われると仕方ない気持ちになるが大人の勝手さも分かるので振り回す事もあった……だがそうしないと最悪な事態が起きた時の悲劇を誰が責任をとるのか……そうなった時には遅いのだ。
「分かったわ……」
「キャラバンの事は先輩や卒業生らも協力しますので、出来れば」
「OK、ただ引き継ぎノートは残し、私も持っているから」
この後、ユカは改めて歩の苦悩を知る事になる。


数時間後、カジュアルウェアから少し上品な服装を揃えた。電動運搬カートも満載だ。
「……」
「歩様ですね、初めまして櫟家執事の一人である倉敷 ライナです」
駐車場にて国産スポーツセダンの前で待っていた執事服に身を包んだ黒髪ショートの男装美女、胸が出ているがそれがまたマッチしている。
頭を下げて笑顔になるが歩は唖然とする。
「えっと、パーティーとかでのサポートには執事かメイドが附く事が当たり前……惹いてます」
何処のマンガかアニメの様な展開に歩も頭に手をやるがユカも必死になって説明する。
「時折、彼女の様な男装執事が附く事あるのよ……」
「Ok……まあ私も櫟家に行かずに直接学園に来たから伯父の執事が命じたとか……」
「はい、歩様の諸事情で御屋敷に足が向かない事は想定内です、どうぞ」
ユカは買い物袋をトランクに乗せ、助手席に……歩も後部座席に。
「これって?」
「貴方の御父上が愛用していたモノです……友人に預けて貰って売るように言われていたようですね」
「……え」
「おそらく本当に家庭を持ちたかったのでしょう……ですが叶う事もなく、貴方の身を案じてベビーシェルターに……」
「……そう」
「歩様、あの時の大人は狂っていたんです。極一部真実に気がついて排除しようとして……私の両親も殺害されたのですよ。あの占い師の取り巻きに」
「……」
「カルト教団化の一歩手前で警視庁が介入して……それでも遅かった。だから貴方の伯父上は本当の娘として接する覚悟を決めたんです。ただ学び舎に関しては他の親族に譲歩したという事で」
「そう……で何処に?」
「宇都宮家の本家です、ドレスやフォーマルウェアの仕立てに……」
「……本当にお嬢様学校なのね」
歩はうすら笑いをするしかない。

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