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女学園の王子様
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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女学園の王子様 1

 少女はその学び家を見上げていた……先週までランドセルを背負っていたが今はレトロな外見を旅行鞄を模したスーツケースが足元にあり大きなリュックサックを背負っている。
「……」
歴史ある建物と誰もが分かる学び家……今や絶滅危惧の全寮制学園に六年間通う事になる自分はどんな顔をしているのか……桜並木が如何にも“名門女学園”と分かる。
「新入生の櫟 歩さんですか?」
背後から聞こえた声に彼女は振り向く、腰まで届く髪の毛が桜の花弁を捕まえる。
「はい」
「ようこそ、私立櫻宮学園へ……ハウスメイトコースの楠瀬 ユカです」
メイド服に丸レンズの眼鏡……三つ編みにした髪の毛が美しい。
「えっと……」
「詳細は既に事務長から伺ってます……スーツケースをこの台に」
普及し始めたスーツケース用運搬ドロイドにスーツケースを歩は載せると観念したように歩き出す。本当に近場の中学と高校で過ごす筈が……幼稚園時代から認知を求めて来た父親の実家である櫟家が突如として自分を一族の子として認めたのは正月明け。児童養護施設キャラバンに弁護士が来た事から始まった。


「今更ですか!!!!!!」
「お気持ちは分かります、敢えて名字まで明かしたのは歩さんの父親の意地です」
園長先生の声が荒れるのも無理はない、弁護士も困った表情になる。
「櫟家の当主は歩さんの伯父です、弟の遺児の事は知ってました……だからこそ」
「家族になる気はありません」
「……」
歩の言葉は重く弁護士にのしかかる、無理もない父親が判明しているのに一族が認めなかったのだ。母親も既に死亡しておりこちらの一族も認めては無い……。
「話は終わりですね?失礼します」
席を立つ歩に弁護士は言葉すら出なかった。
「本当に誠意があるのなら何でも他人任せに済まさない様にクライアントに伝えるべきだ、アンタラはそれで飯を喰っている事も元を取ろうとする事は承知しているよ……」
弁護士も痛い所を突かれて席を立った。



数日後、校長室にてある女学園のパンフを見る歩。慣れてないのか担任教師もぎこちない。
「櫻宮女学園……確かもう入試受付は済んでいる筈」
「ほら全国統一模試で好成績を取って……それに櫟さんの事情を知っているから、特別枠での入学話があるのよ」
「……その話は受けません」
「うむ、どうしてかね?」
「全寮制ですから……私には下の子供らの面倒をみる事もあります」
「キャラバンの一切合財の支援条件ならどうかね?」
パーテーションで区切られた所から出て来た男性が言う。
「私の名は櫟 正信、君の伯父だ」
歩は驚く事もなかった。何度かキャラバンの付近で見た事がある人物だ。
「両親がペテン師に引っかかった故に弟所か君の母親も急逝した……その罪滅ぼしの一つとして提案したい」
「……私の事は知ってますよね?」
「先天性両性具有……普通の女学園なら問題視するが心配はない、そこの理事長は君の素性を知って私に話を持って来た」
キャラバンの運営の厳しさは歩も分かる。少しどっしり感がある彼は申し訳ない表情で言う。
「直ぐに伯父さんと呼ばないでも構わんよ……」
「私、処女じゃないですよ」
「委細承知だ」
観念したように歩は頷いた。
因みに校長も担任も歩が既に性交している事は把握していた……入学当初から両性具有症の彼女に対して色んな誤認やら偏見の眼で見る”大人”も少なからず居てそれが同級生や同じ学年の児童にも伝わっているので露骨に距離を取っているのが現状だ。何時かは大人とのセックスに発展するのは時間の問題だ……ただ相手が同じく児童養護施設キャラバンから巣立った方なので二人は何も言わなかった。


卒業式にはセーラー服で出席、式典が終わると直ぐにキャラバンから巣立ったのである。


「……はじめまして、櫻宮学園理事長の宇都宮 簪です」
「櫟 歩です」
成熟した女性と言う感の理事長を見た歩の眼は鋭いが簪は何も言わなかった。本来は産れた時から手を差し伸べるべきだった少女なのに……今更差し伸べても手遅れと言う声も聞こえたが簪は放置すれば宇都宮一族が其々経営若しくは株主になっている会社にも影響が及ぶと考えていた。
「入学式は来週だけど入寮は認めてます……」
初等部は流石に寮住まいではないが両親が海外に居る事や歩の様に孤児である場合は例外として適用される。

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