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作品ドロボウ バーニングジュン
官能リレー小説 - 性転換/フタナリ

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作品ドロボウ バーニングジュン 7

「ある研究機関で、“遺伝子組換強化治療技術開発プロジェクト”というものが政府公認の下で進められ、遺伝子工学にも精通していた神崎博士はそのプロジェクトに関わっていたらしい」

遺伝子組換強化治療技術とは、遺伝子工学の技術を用いて、生物の遺伝子情報を組み換えることによって、重傷患者の回復や肉体強化をもたらそうというものだった。
しかし、回復や強化の過程で、Y染色体がX染色体に変化してしまうことが判明した。つまり、この技術を男性に施した場合、染色体がXYからXXに変化し、女に性転換してしまうわけだ。
また、この技術は誰もが適合できるわけではなく、適合者でなければ肉体崩壊を引き起こして死に至る危険があり、性転換した者を元に戻すのも無理とのことだ。

「そんなわけで、このプロジェクトは中止になったそうだ。…1人の瀕死状態の少年に施したのを最後に…」
そう言って、水谷博士は説明を終えた。

「それが純お兄ちゃんなんですか?」
蒼は、その瀕死の少年というのは純のことかと思った。
「多分な。神崎博士は何としても純くんの命を救いたかったんだろう。女になってしまってもいいから…純くんを死なせたくなかった」
「でも、適合しなきゃ死んでしまうんじゃ。その危険を顧みなかったんでしょうか?」
「それだけ一国の猶予もならなかったんだな!一か八かの賭けに出たわけだ」
「そんな!」
「そして…見事に適合し、女になった代償に…純くんは強靱な肉体を手に入れた」
蒼は、水谷博士の話に、ただ驚くばかりであった。

神崎博士の開発したスーツを着て活躍しているヒロインの名がジュンで、神崎博士の一人息子の名前と一致すること、その純が瀕死の重傷を負ったこと、そして、肉体の治癒や強化の代償に性転換をもたらす技術の存在、以上のことから水谷博士は推測したわけだ。

「スーツの性能によるものだろうが、バーニングジュンの発揮するパワーは余りにもズバ抜けている。あれ程のパワーを出して、生身の肉体で耐えられるかどうか!」
水谷博士はそんな疑問を口にした。

蒼は水谷博士の研究所を退出し、帰路に着いた。帰宅すると、入浴を済ませ、母と夕食を共にした。
蒼の父は仕事の都合で今夜は不在で、母は夜勤で家を出る。よって、この夜、蒼は家で1人っきりだった。

母が出かけて間もなく、
(ピンポーン)
玄関のチャイムが鳴った。蒼は玄関のドアを開けたが、誰もいなかった。
(誰かの悪戯かな?)
蒼はそう思い、ドアを閉めて鍵を掛けた。

蒼は2階へ上がり、自分の部屋へ入った。そして、椅子に座り、机に向かって考え込む。
(あのバーニングジュンが純お兄ちゃんだなんて…)
(純お兄ちゃんが性転換して女の子になっただなんて…)
水谷博士から話を聞かされ、蒼は半信半疑だった。

テレビに写っていたバーニングジュンは、頭にヘルメットを被り、ゴーグルとフェイスガードで素顔を隠していた。しかし、かなりの美少女だという噂だ。
(純お兄ちゃんもかなりの美少年だったけど…)
バーニングジュンに直接会って確かめたい、蒼はそう思った。


その頃、水谷研究所では・・・

「本当にいいのですか?・・・」
「キミニシカ・・・タノメナイ・・・ノダ・・・ワタシガ・・・コウナッタ・・・タメニ・・・」

機械の合成音のような音声。
その声の主は車椅子姿。
身体の大半が金属に覆われた奇妙な姿は、天才科学者と言われた神崎進であった。
彼は爆発事故で身体の大半を失っていたが、自らの身体をサイボーグ化することで何とか存命していた。
しかし、その身体は限界に達していて、顔色は殆ど無かったのだ。

水谷雄司は、神崎博士を見る。
雄司にとって神崎は、かつての師匠である。
師弟で暫く交流はなかったが、弟子故にバーニングジュンの事を予測できた訳だ。

そして、神崎の車椅子を押し、心配そうにしている美少女・・・
神崎純。
神崎の息子・・・いや、今は娘だ。

「僕は、もう覚悟できてます・・・父の意志を継いで行く為に!」
「そう言っても、君は男だったろう?・・・耐え難いと思うが・・・」

雄司が彼にしては珍しく戸惑った声で言う。

「ワタシハ・・・ナガクナイ・・・ジュンヲ・・・タクセルノハ・・・キミシカ・・・イナイノダ・・・」

喉をやられてるせいか人口声帯の音で喋る神崎。
もうその顔には死相が出てるようにすら見えた。

「父は、水谷博士を一番評価してます・・・父のパワードスーツ理論と水谷博士のエナジーダイナモ理論を合わせると最強のヒロインができると・・・」

純の話に雄司は顔色を変える。
彼の理論は、学会でも笑いものになるレベルのものであったからだ。

「あの理論の完成は・・・まだ難しいのです・・・」
「リロンノカンセイニ・・・ジュンヲ・・・ツカッテクレレバイイ・・・」
「水谷博士・・・僕の身体は性転換の後遺症で非常に昂りやすくなってます・・・自分で処理するのも限界ですし・・・この身体を研究に役立ててくれるなら・・・」

水谷のエナジーダイナモ理論は性的欲求をエネルギー変換してスーツの強化エネルギーにするものだ。
だが、まだ構想段階であり、理論自体も邪道的な扱いの代物だった。

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