そして加奈はジャージを着て倫子の前に戻って来る。
一応であるが屋敷に居る者は何かあった時のために特製のジャージを渡されている。
そのジャージはイムラーンや栓女達の乳房に合わせて胸元がかなり余裕を持たせて作られている。
だがそんな特製のジャージでも加奈の爆乳乳房は収まりきれず腹周りはブカブカになりファスナーも上がりきれず胸元の谷間がくっきりと見えていた。

「かっ！加奈様・・・流石にそれで出るのは」
「しょうがないでしょう・・・これ以外じゃ掃除で着る衣装がないんだから」
「仕方がない・・・それじゃ加奈様出ましょう」
「ええ」

こうして加奈と倫子は掃除をしに外へと向かう。
そして二人は外に出ると玄関周りや車の出入口等の掃除を始める。
とは言っても普段でさえ倫子一人で１０分程度で終わる作業を加奈と二人で行った為か５分足らずで掃除が終わってしまった。

「掃除も終わった事だし・・・それじゃ加奈様中に戻りましょう」
「うっ・・・うん・・・」

倫子は掃除が終わったので自身と共に早速加奈を中へ戻そうとする。
加奈も折角外に出たのにと不満を言おうと思っていた。
だが掃除が終わったら素早く中に戻るのが外に出る条件だったので渋々倫子の指示に従う。
そして掃除道具を持って中に戻ろうとしたその時

ドン！！

「きゃあっ！」
「いたっ！・・・」

加奈に誰かがぶつかってしまい加奈もろとも倒れてしまった。
倫子は直ぐ様加奈に近づき声をかける。

「加奈様！大丈夫ですか？」
「私は大丈夫よ倫子さん」
「それは良かった」
「それより彼方の方は大丈夫？」
「そうですね・・・貴方はケガとかありません？」
「だっ・・・大丈夫です」

加奈は倫子が差し伸べた手に取って起き上がると直ぐ様一緒に倒れた人に手を差し伸べる。
倒れた人も加奈の差し伸べた手でゆっくりと立ち上がってゆく。
そして完全に立ち上がると深々と加奈の方に頭を下げる。

「ごっ・・・ごめんなさい！ついよそ見をしてたもので・・・お怪我はありませんでしたか？」
「私は大丈夫よ貴方の方こそ大丈夫？」
「はい大丈夫です」

加奈と倒れた人は各々お互いの身体の事を気遣うと倒れた人が

「あの・・・後々何かあったら大変なので連絡先をお教えしたいのですが？」

と自身の身元をお教えようとする。

「其処までしなくても」
「いいえ一応万が一の事がありますから」
「それじゃあ・・・その事は私の方で何とかしますから私に教えてくれない？」
「分かりました」

倒れた人の願いに加奈は遠慮するが万が一の事なので倫子が割って入り倒れた人にメモ帳を渡す。
そして倒れた人はメモ帳に自身の身元を書き残す。
そして倒れた人が書き残したメモ帳を倫子に渡すと

「ありがとうございます・・・それじゃあ私はこれで失礼します」
「いいえ此方こそ」
「何かあったら連絡するね」
「はい分かりましたでは失礼します」

お互いが返礼しながら倒れた人はジョギング中だったのか加奈と倫子の前から走り去って行った。
二人は走り去る倒れた人の後ろ姿を見送った後で倫子は改めて加奈の身体を気遣う。

「ところで加奈様！お身体の方は本当に大丈夫でしたか？」
「本当に大丈夫よ・・・それよりメモ帳に何を書いたのでしょうか？」
「そうでした」

二人はそう言うとメモ帳を開き倒れた人のメモを見る。
そこには住所と保護者である父親の名前と共に

“武上詩織（たけがみしおり）市立第四中学校二年Ｂ組”

と自身の名前と通っている学校名とそのクラスが書かれていた。

「加奈様・・・第四中学校っていったらうちの学園から一番近い中学ですね」
「ええ・・・それよりあの子は女の子だったんだ」
「そうみたいですね見た目が中性的で男の子が女の子か分かりませんでしたから」
「うんうん」

二人はメモ帳を見ながら詩織の事を話していた。
そう詩織の外見は見ただけでは判りづらい容姿をしていた。
ショートカットの髪形はあまり手入れをいれておらず少しぽさぼさ気味。
如何にも体育会系の部活に入っているかのような少し日焼けした肌。
そして何よりブラジャーを未だ身に付けてないんじゃないかと思われる程の薄い胸。
ジャージ姿だった詩織の姿は下手すれば男の子と間違えても不思議ではないのだ。
そんな事を二人は思いながらも

「それより加奈様さっさと中に入って次に備えましょう」
「えっ！ええ・・・そうしましょうか」

そう言いながら二人は掃除道具を持ちながら中へと戻って行った。



しかし他愛のないこの出来事が今の難しい事態を好転するとはまだ誰も予想だにしていなかた。