テラスティア大陸やレーゼルドーン大陸から遠く離れた別の大陸。
　そこでは、ある一柱の女神が人族、蛮族問わず多くの女性から信仰を集めていた。

　その女神の名前は「淫蕩神　リリト」。
　他の大陸の人族も蛮族もまず存在自体を知らないマイナーな小神であり、わずかに知る蛮族はむしろ嫌ってさえいる神である。


　蛮族の一種、サキュバスが第三世代魔剣とその加護を得て昇神した神であり、所属としては第二の剣陣営に入るので、本来ならば蛮族からの信仰を集めているはずの神である。
　しかし、その教義は
・性交渉は気持ちよければ気持ちよい程よい。そこに愛があればなお良い。
・性の快楽を工作活動の道具として弄び、自分自身は快楽に溺れるつもりの無いハニートラップは邪道である。
・レイプ？　共依存に付け込んだ乱暴狼藉？　そんなものは断じて許しません。
であり、リャナンシーやミノタウロスなどの一部の蛮族にとっては存在自体を全否定されたに等しい教義であるため、彼女の存在を知る蛮族からはむしろ敵対勢力である第一の剣陣営の神々よりも嫌われてしまっている。

　また、特殊神聖魔法のラインナップや、プリースト（リリト）を持つ者がハニートラップ行為に及んだ場合、即座にプリースト技能を剥奪されると言う意外な厳格さも、彼女が嫌われる原因となっていた。

　その特殊神聖魔法のラインナップは

レベル２：サーチ・アンチリリト
消費ＭＰ：３　対象：半径３０ｍの空間　射程形状：術者中心　持続時間：一瞬　抵抗：不可能
　リリトが嫌うハニートラップ工作員、強姦魔、ＤＶ男の類に反応する探知魔法。
　蛮族に反応するライフォスの特殊神聖魔法「サーチ・バルバロス」と探知能力を比較すると、反応があった位置情報まで術者に教えてくれるこちらの方が優れている。
　思考回路を基準に対象を判定するため、民族性自体がハニートラップと言ってよいリャナンシーはこの魔法から逃れることができない。
　ただし、この魔法で探知された対象は魔法の行使に気付いてしまう。

レベル４　エッグコントロール
消費ＭＰ：４　対象：１体　射程形状：１０ｍ・基点指定　持続時間：２４時間　抵抗：なし
　卵子の排卵・着床などをコントロールする魔法で、通常は娼婦などの避妊に使用される。
　裏技的な使用方法としては、不妊に悩む女性に使用して妊娠を助ける、という使い方もできるのだが、その場合は避妊に使用するよりも高度な操作が求められる。
（避妊には１ゾロ以外自動成功、不妊に悩む女性の妊娠を促す場合、不妊の原因にもよるが人間で１５〜２０程度の目標値のクリアが求められる）
　また、無制限に妊娠を促せるわけではなく、人間に対しては１ヶ月、より長命、より強大な種族になればなるほど長大なインターバルを置かねば、妊娠を助ける目的でこの魔法を行使することができない。

レベル７　クリエイト・メイドスレイブ
消費ＭＰ：最大ＭＰと同値＋経験点５００点　対象：自分　射程形状：接触　持続時間：永続　抵抗：なし
　人間の美女の姿をした分身を生み出し、使い魔とする魔法。
　この使い魔は食事の代わりに、１０日に１回程度の頻度での男性との性交渉を必要とする。
（プリースト（リリト）技能は女性しか持てないので、術者本人がこの維持コストを支払うことはできない）
　術者は自分の胎内にリリトの祝福が篭った魔力塊を生成して、１ｄ日の時間をかけてその魔力塊を使い魔となる分身に加工、出産する。
　出産直後は蠢く肉塊のように見える分身だが、見る見るうちに人間の成人女性（最低でもそれなりの美人）に類似した姿に変貌する。

　こうして生まれた分身は全ステータスが４＋２Ｄで５００点分の経験点を有し、以下のような種族特性を持つ。