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うみねこのなく頃に バトシャノ
官能リレー小説 - 二次創作

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うみねこのなく頃に バトシャノ 1

「ん・・・」
ぼんやりとした意識が段々とハッキリしてきて、自分が眠りから覚めるのだということを感じる。
重たくなった目蓋を開くと、そこには見知らぬ天井が在った。
(ここは・・・)
「あ!気が付きましたか?」
白衣を着た中年の看護婦さんが私の顔を覗き込んだ。
「ここは?・・・私、死んだはずじゃ・・・」
私のその言葉を聴いて、それまで人の良さそうな笑みを浮かべていた看護婦さんは、怒ったように目を吊り上げる。
「馬鹿言ってんじゃないの!いいこと!何があったか知らないけど、どんな理由があれ自殺なんて絶対に許されない事なんだよ!もし、あんたが死んだら、あんたのご両親がどれほど悲しむか、あんたホントに分かってんのかい!?」
看護婦さんの言葉に私は思わず笑ってしまう。
(両親?私を勝手に産み出したあげく、呪われた生を押し付けた人たち・・・こんな事になるなら初めから生まれたくは無かった・・・)
心の中でそう言うと同時に、私の心の中に絶望が満ちてくる。
(ああ、そうか・・・私、死ねなかったんだ・・・)
どうやら神様はよほど私の事がお嫌いらしい。
死を望んで海に飛び込んだにも関わらず、何故か生き残ってしまったようだ。
「とにかく!今から恋人さんを呼んできてあげるから、彼と良く話し合って!人間死ぬ気になればどんな試練でも乗り越えられます!!」
そう言うと看護婦さんは私を残して部屋を出て行った。
私は彼女の言葉に微かな違和感を覚えた。
(恋人?でも、譲二様はもう死んだハズ・・・)
そんな私の疑問は部屋のドアが開かれると同時に一瞬で霧散した。
「紗音ちゃん!良かった!気が付いたんだね!」
「!?ば、戦人さん・・・」
彼は私の無事を確かめるように、私の体を強く抱き締めると、そのまま子供のように激しく泣き出した。



俺の名前は右代宮戦人(うしろみやばとら)。
大富豪である右代宮金蔵(うしろみやきんぞう)の孫で色々あって一時右代宮一族から離れていたが、先日六年ぶりに右代宮家に籍を戻し、六軒島の本邸で開かれる親族会議に参加して・・・爺さんの遺産である黄金を巡る親族同士の殺し合いに巻き込まれた。
何とか生き残った俺は、同じく生き残った使用人の紗音ちゃんと一緒にボートで島を脱出した。
その途中自殺しようと紗音ちゃんが海に飛び込むというアクシデントがあったが、俺は彼女を助けようとすぐに海に飛び込んだ為、何とか無事救出することが出来た。
「紗音ちゃん・・・何度も言うようだけど、親父たちが殺し合ったのは君の責任じゃない。それに厳しいことを言うようだけど、君が自殺しても譲二兄貴たちは生き返らない。君のしようとした事は、罪の償いじゃなくて単なる逃げだ」
「でも・・・私、他にどうすればいいのか分からないんです・・・」
紗音ちゃんはそう言って眼から大粒の涙を零す。
不謹慎だが、俺は涙を流す彼女のその姿を美しいと思った。
「紗音ちゃん・・・君は覚えてないかも知れないけど、六年前俺は君にプロポーズしたんだ」
突然俺が話を変えたことに困惑しているのか、紗音ちゃんは驚いたように眼を見開いて俺の顔を凝視する。
「もし、君に罪が有ると言うなら、その君の罪を半分俺が背負う」
「戦人さん・・・」
「生涯君を支えるから、生きよう・・・俺と二人で・・・」
死んだ譲二兄貴に悪いとは思うが、今の紗音ちゃんには支えとなる人間が必要だ。
そして、それは俺も同じだった。
もしもあの日地下貴賓室で瀕死の紗音ちゃんを見つけ、彼女を守るという目的が無ければ、俺はあのまま六軒島で死んでいただろう。
何より俺は六年前からずっと彼女に恋をしていたのだから。
「紗音ちゃん・・・俺と結婚してくれるかい?」
「ううう・・・」
紗音ちゃんは先ほどの俺のように、俺の胸板に顔を押し付け子供のように泣きじゃくりながら、何度も何度も頷いてくれた。

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