青と白の間で 4
さて…
青山さんが泳げるように僕も頑張らねば…と思ったのだが
…予想のはるか斜め上を行くかのごとく、青山さんは泳げなかった。
顔を水につけることから怖いのか、息継ぎもままならず、ビート板を使って練習するとバタ足もフォームもめちゃくちゃ。
…幼い頃に溺れ死にかけたとかで水にトラウマがおありなのでしょうか。
…時間は過ぎるものの、なかなか前進とはいかない。
「ちょっと休憩しようか」
「うん…」
莉花は…スイスイ泳いでるなぁ…
いったんプールから上がり休憩。
「ごめんね…せっかく教えてもらってるのに」
「青山さん、昔から泳ぐの苦手だった?」
「うん…ちょっとね」
…いや、今の見てもちょっとやそっとではない気がするんですが。
「水泳の授業で、泳げないのが恥ずかしいって思って、水沢くんに頼んでみたけど…」
「そうなんだ」
「ごめんね、私がセンスがないみたいで」
「そんなことはないよ、うん」
青山さんは俯き加減でプールのほうに視線を移す。
何でも出来て優等生の青山さんにも、苦手なものがあって…やっぱり普通の女の子なんだな。
…それに、スタイルよくて…結構、胸あるな…
じー
…何かただならぬ視線を感じて、僕もプールのほうに目をやると…莉花が泳ぐのを止めて、こちらを見つめていた。
「な、なんなんだよ」
「仲がよろしくてうらやましいこと」
莉花もプールから出て、僕の隣に座る。
「青山さん」
「何?」
「無理しなくていいよ。別に泳げないからって死ぬわけじゃないし」
「ま、まあね」
…青山さんは苦笑いだけど、莉花らしいアドバイスだな。
「青山さんは他が出来る人だから、泳げないだけで落第点じゃないし」
「そうかなぁ…泳げない人の補習とかないかな…」
「それはさすがにないんじゃないかな…」