青と白の間で 16
「莉花ちゃんは、水沢くんと付き合いが長い…でも、私も負けないから」
青山さん、完全に莉花をライバル視している。
「水沢くん、明日、部活休みだよね」
「えっ、ああ、そうだけど」
「明日、放課後、またここに来て」
「あ、ああ…」
今日はもう遅いから、と青山さんは言い、図書室を出て、学校から出るまで一緒にいた。
明日、何があるのか…
…翌日。
一日は普通に始まり、何事もなく終わる。
問題はここからだ。
青山さんが言った、あの話。
「涼」
莉花が声をかける。
「今日部活休みでしょ、一緒に帰ろうよ」
「あ、ああ…ごめん、ちょっと用事があって、先に帰っててよ」
そう言うと、莉花はキョトンとして
「用事…?」
「う、うん…ちょっとね」
「そう…」
途端、残念そうに視線を落とす。
「ああ、また今度…だからそんな落ち込むなって…」
「じゃあ、明日待ってていいかな?」
「え?」
「明日、涼が練習終わるまで待ってるから」
「あ、ああ…お前がその時間まで待てるなら…」
「大丈夫♪それじゃあね!」
莉花は笑顔で手を振って帰っていった。
うーん…明日は明日で大変そうだな。
「あ、いけない…」
そうだ、青山さんとの約束を守らないと。
言われたとおり、僕は図書室に向かう。
昨日と同じ、中は薄暗く静かで、誰もいない。
…青山さんですら。
「あれ…?」
不思議に思っていると、突然背後から
「嬉しい…」
青山さんが抱きついて来た。
「あ、青山さん…」
予期せぬ反応に、僕は戸惑う。
「本当に嬉しい…ずっとこうしたかったの…」
僕に抱きつきながら、声を震わせる青山さん。
…しばらくこの体勢のまま、時間が過ぎて行って。
「いいよ」
青山さんがそう言って、離れた。
振り向いて青山さんの顔を見ようとする。
瞳を潤ませて、それでも笑顔で僕を見つめる、青山さんの姿があった。