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MATRIX/Anomaly
官能リレー小説 - 二次創作

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MATRIX/Anomaly 11

エージェントスミスが立ち止まり、雑居ビルを見上げている。そこは風俗店が何軒も入っている風俗ビルだ。俺がスミスに声をかけようとした途端に中に入っていく。俺は走るとエレベーターに乗るスミスを見た。エレベーターの前で何階に止まるか確認する。
五階か。
俺はエレベーターが戻るのを待った。エレベーターに乗ると五階はイメクラだとわかった。
スミスのプライベートの趣味と思うと笑えるが、スミスはまともではない。侵入者がイメクラで遊んでいるのなら、男だから俺には関係ない。
降りていくと、風俗店の中に俺も行くと従業員の受付係があくびをしたところだった。
「なあ背の高い、サングラスに黒服の奴が来たか?」
黙っているので俺は「警察だがその男を追っている」と握手するふりをして一万円札を握らせる。
「来てますよ。待ち合い室にいます」
「わかった。俺も遊んでいくふりをするから案内してくれないか。女の子をつけずに待たせろ。奴が指名なら、その女の子を俺につけてくれ。話が聞きたい。他言無用で頼む」
「潜入調査じゃないんですね」
「それは俺の仕事じゃない」
ほっとした表情の従業員がやっと笑った。
エージェントスミスに指名されるイメクラ嬢ってどんな女の子なんだろう。スミスがどんなプレイをするか聞き出してみよう。
俺はスミスとは別の待合室で待った。待合室がふたつあるそうだ。侵入者が風俗店で働いているパターンは初めてだ。
「はじめまして、よろしくお願いします」
スミスは上品そうなロングヘアーの女性が好みなのか。
「エージェントスミスが今、この店に来てるぞ。あんたを指名した。逃げるなら今しかないぞ」
「教えてくれてありがとう。誰か知らないけど。でも、こんなことして大丈夫?」
「人の心配より、自分の心配をしろよ」
「そうね」
彼女は客に渡す源氏名の印刷され名刺の裏にボールペンで、ホテルの名前と時間を書いた。
「待ち合わせしましょう。また後でね」
「ああ、またな」
俺は彼女と逆方向、店の受付に戻った。
「用事は済んだ。帰る。今度はプライベートで来させてもらうよ」
「ありがとうございました」
エージェントスミスは、まだ待合室でおとなしくしているようだ。
「店から逃げて来たけど、これからどうするかは決めてないわ」
「なんで風俗店で働いてたんだ?」
「船に戻るはずが戻れなくなったの。で、しかたなく働くことにしたんだけど、身元不明でも働ける仕事で見つかったのがイメクラだったのよ」
黒髪のロングヘアーで狐顔の二十代後半から三十歳前半の和風美人はジーパンにシャツというラフな服装で化粧もあまり濃くない。
彼女によると船の設備にケーブルをうなじにあるコネクターにつなぐとマトリックスに侵入できるそうだ。
「誰かにケーブルを外されたのか?」
「意識はマトリックスにあるから体は意識不明のまま生かされてるってことね」
「心当たりはあるのか?」
「わからないけど、ケーブルを私の体に誰かがつないでくれないと戻れないでしょうね」
マトリックスにアクセスしている船の機器が破壊されたり、彼女の本当の肉体が死ぬまて、幽霊のようにプログラムだけの存在としてスミスに消去されるまでさまよい続ける。
「アクセスポイントでも戻れなかったってわけか」
プログラムだけの存在になった侵入者はマトリックスに閉じ込められエージェントスミスの脅威から逃げ続けるしかない。
「なんでスミスに店にいるのがばれたのかしら?」
「今までスミスに追跡されたことは?」
一度狙った獲物をエージェントスミスは何年でも追跡し続ける。プログラムが改竄されない限り、ずっと追い続ける。
「プログラムの改竄?」
「エージェントスミスが識別しているプログラムからプログラムそのものを変えられたら、獲物だとわからなくなる」
「遺伝子情報を変えるみたいな話ね。そんなことできるのかしら。それに改竄したプログラムで元の体に無事に戻れるの?」
「ケーブルが外されていたり、船が遭難して無人航行していたら戻れない。ケーブルが接続されていれば改竄プログラムでも戻れると思う」

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