漫画入式 8
「あっ……だめ……だめ……可憐……だめになっちゃう」
(いいよ可憐……いっていいよ)
「あっあっ……いく……可憐……お兄ちゃん!……可憐」
舌でつつんで。
(さあ可憐……僕を感じて)
「いっちゃう……あっ……あっ……あっ……やぁっ!」
(可憐……はじけて!)
「んっ!……あはぁっ!……おにっ!……い……ちゃん」
──電気ショック療法
きっと、それを受けたときにはそんな反応をするかのように弓なり。
名前のように可憐な声を引いて──────達する。
「……はあ……はあ」
その余韻を失わぬよう、そっと抱きしめる。壊れたものをいたわるように。
「お兄ちゃん……可憐」
「ん?」
「いっちゃった」
その一言を……可憐の唇が発することの刺激。
堪えきれず組み敷く。
「可憐に……入るよ」
「うん……きて……ください」
「「んっ」」
求めていた結合を。僕だけでなく……きっと可憐も望んでくれているであろう結合を。
「可憐……きもちいい」
「お兄ちゃん……可憐も……可憐も」
その切なそうな表情が、僕を、心を、壊していく。
「可憐……可憐っ……あっ……もっと」
「お兄ちゃん……もっと……もっと深く……きて」
男なのにはしたなく声をあげてしまう。───可憐が受け入れてくれるから。
「可憐……ううっ……今日は?」
その答えで、僕は自分を律することができるかどうかはわからない……可憐の中で。
「あんっ……大丈夫……んっ……だい……じょうぶ……だから……なか……ああんっ」
(で出していいよ)
その言葉を言わせない勢いで攻め立てる僕の本能。
「お兄ちゃんっ……あんっ……お兄ちゃん……好き……大好き」
「可憐……あいしてる」
「可憐も……可憐も……抱きしめて」
──言われなくても。
皮膚があることすら苛立つほどに一つになりたくて。強く……強く。
「もっと抱きしめて……可憐が……可憐が……どこにも行かないように……捕まえていて……やあっ!……お兄ちゃぁん」
「可憐……いくよ……受け止めて」
お互いを拘束する腕の力を強めて。目の前にある左耳に囁く。
「ああっ……はい……可憐……の……膣内(なか)に……出してっ」
その言葉を自分の左耳に受け終わるか否か。
「うっ……可憐っ」
「ひあっ!……はっ」
(どぴゅっ!)
誰が最初にその擬音を使ったのか……本当にそんな音がしたような勢いで。
「ううっ……うっ!……ああっ」
「あんっ……はっ……はあっ」
全身の水分を注ぐような射出を──可憐の膣内に。
「くる……んっ……来てる……お兄ちゃんのが」
「可憐っ……かれん」
全身の体重を、その華奢な体に預けて……
「お兄ちゃん……大好き……可憐……しあわせ」
背中で立てられていた爪の痛みを感じながら、耳元の囀りに、再び溺れる……
「もう少し……このままでいて……お兄ちゃん」
「どうして?」
「あったかいの……可憐のなかも……心も……お兄ちゃんでいっぱい」
再び唇を吸って……
「可憐」
「はい」
「好きだよ」
「……」
権限を終焉させて戻ってきた俺は、この上もない充実感に満たされていた。
これまでの人生、ここまで充実した、と思えたことがあっただろうか。
夕日を鎮め終えた濃密な青に満たされている空が、俺を包んでくれているかのように感じられる。
現実世界も、こんなに満たされていたのか。なんとはなしにそう思えた。