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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 80

参考までにボンゴ兄弟は無罪証明のしようも遺体の引き取り手もなく、献体に使われた後は火葬場経由で街の外に散骨処分される(場末の小悪党に墓などない)。

「ウドン家の御令嬢…の首はそっちか?」
「DNAスキャナーこっち、この黒焦げだ!」

選択肢ひとつでクリスも彼方側になっていた、故障した車載CPUの気紛れで彼を救う事となったデイヴ私設警察の連中。
彼等は身元確認とゾンビ予防接種の済んだ者から順に、デザインだけはSF的な棺桶めいた棺桶以外の何物でもない保冷防腐カプセルへ収納されてゆく。
親元への連絡が付き明日にはエージェント達が引き取りに来るそうで、修理不能なまでの損傷に加えて武装も根こそぎ奪われたバスも同様だ。

「ホワイトカラーがリムジンに星条旗掲げて、英霊のお出迎えに馳せ参じますってか?」
「ちょっと先輩!そういう言い方は…?」
「ええ、ロボットみたいな背広組に連れてかれて、親元に帰れば余計に可哀想なぐらい祭り上げられますよ。」

グレイスが悪びれもせず皮肉りエレナがそれを咎めようとするも、クリスは担当者から寄越された書類をチェックしながら、まさかの同意で毒を吐いた。
彼の出身は白人中心のコミュニティで、安定した文明復興と共にアクの強さも引き継がれているという。
エレナは人間と同等かそれ以上の知的生命体である人外ながら、ナチュラルな部分では人間の歴史文化を理解しきれず困惑気味で、対してグレイスはクリスと同じく白人遺伝子特徴が強い上、カルト時代の教育で感覚的に人種の風潮というモノが理解出来ていた。

「最後はここにサインを、ハイOK。」

クリスが署名している向こうでは、遺体のかけらがどれが誰だか判別する仕分けが続いていた。

「デイヴ・オコーチさんの遺体はこれだけか?」

血や肉がついた白地の作業フード姿の職員の一人が手にしたのはペニスと玉袋が付いた下腹部の一部。ソレはすでに変色が始まっていたが、少し皮をかぶっているもののかなりの大きさだった。勃起したら巨根…ただし脂肪もついているので少し柔らかい…だろう。
同じような姿の別の職員が顔だけ向けて答えた。彼の前には下腹部を完全に壊された少女の遺体がほぼ一揃え並んでいる。

「小さいかけらは2、3あるが、ほぼ砕き焼き尽くされてるようだ。」
「そうか。生きてりゃイイ女とヤれただろうにな。」

質問した職員が一瞬だけ目礼した。
無残な遺体やその断片が並ぶ中で交わされた、そこだけ気が抜けたような、だがわずかに悲しみを浮かべた会話。
そこだけ気持ちを挟むと職員は仕分け作業に戻った。

そうした彼らの会話はクリス達にも聞こえていた。

「ああなると空しいものですね。それに…」

クリスは呟くように言うと、美しい顔を下に向けると苦々しさでいっぱいといった表情を浮かべた。単に人死にに慣れきれていないだけではなさそうだ。
エレナが心配して問いかける。

「ねえ?どうしたの?」
「いえ…いいんです。」

残念そうな表情で首を横に振るクリス。その視線は今度はデイヴ警察女性メンバー達の遺体を睨んでいた。
グレイスもさすがに心配になったが、聞いてはいけない何かがあると察して違う話題を振った。

「これであなたもクルマ持ちになれたね。」
「そうですね。少しは運が向いてきたのかな」
グレイスの言葉で、ようやく少し嬉しそうな顔を見せたクリス。
「そーよ。もっと喜ばなくっちゃ」
エレナも彼の背中を軽くたたく。クリスはわずかな間考え込んで、一つ頷いて言った。
「これで、輸送か何かの仕事もできるかもしれませんね」
「あ…そういえば、そんな方法もあるか」
エレナもグレイスも、これは考えてなかったようではっとする。
武装して悪用する山賊だっているこのご時世だ。ボンゴ兄弟が使ってた装軌装甲トラックなら、街と街を結ぶ輸送もできるだろう。

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