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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 79

このクリス少年、昼飯前にタクス達の助けでカバガンの群れから逃げ切ったと思いきや、今度はボンゴ兄弟のクルマに追い回されていたそうな。
しかしそこでフラフラと走り回っていたバスと装甲トラックが衝突して、ボンゴ兄弟が死亡。
装甲トラクターを検分していたサクラは防弾フロントガラスと機銃座の防盾に、ボンゴ兄弟のそれらしき血痕等の形跡を発見し、BS端末の簡易テスターにかけて一致する事を確認した。

「(ひゅぱっ)嘘ついちゃ、ダメだよ?」
「(ぱしぃっ)ホントですってばぁ〜!」

躱し難い下段からグレイスの不意打ちに、クリスは真剣白刃取りで去勢を免れ涙目で弁明する。
タクスは状況からしてクリスの言い分を信じてはいたが、彼のイジられキャラぶりが面白いので見物していた。

「うむ、生存本能では天賦の才があるな。」

銃撃してくるクルマから逃げ切った健脚と悪運強さ、こうして咄嗟に致命傷を避ける反射神経は見事なもの。
ただし腕っ節はイマイチな様でクリスは何かしら返し技が出来るでもなく、早くも白刃取り体勢がプルプルしてきた。
そろそろ彼が彼女にされてまうと見越したタクスが、マツチヨの砲身でグレイスをブッ叩いて大人しくさせる。
落ち着いたところで互いに自己紹介を済ませ、昨日の今日でグレイスに『ごめんなさい』させてから、クリスに話の続きを聞くことにした。

「じゃあこのバスって『あの動画』の?」
「ええ、デイヴ私設警察のチャラオって人のクルマです。」

轍追跡からモヤモヤしていたエレナの推理が漸く正解に辿り着いた。
早い話がボンゴ兄弟のクルマと事故ったのは、ポルタの返り討ちに遭った若手ハンター達(の死体)と一緒に放り出されたバスで、クリスの元にもその動画は届いていたそうだ。

「偶然とはいえ助けられたようなものですし、なきがらがあったので葬ってあげたかったんですけど、ボンゴ兄弟の死体もありましたし僕一人ではいつ襲われるかも分からないので街に戻ってからどうにかしようと…」
(彼…ものすごく綺麗よね…)
供述しながら悲し気に俯く彼のその顔が余りにも綺麗で、思わず女性陣はドキッとしてしまう。

「あー、こりゃ一人で埋葬ってのは面倒だな…日が暮れちまう」
凄惨なバス車内を見分していたボドーが呟くように言った。

半壊状態のバスの中には顔面が穴だらけになった少年、上下分断された少年、屍姦すら無理なほど腹部を破壊された少女、どれもこれもDr.ミンチでも匙を投げそうだ。

元は後部銃座だったらしい、兵装を分捕られた開口部から、ウサ耳アクセを付けた生首が転げ落ちる。
エレナはそいつを『同族』と見違え肝を冷やしたその時、このクルマは首が転がるほど傾いちゃいない様だが何故?と疑問を抱いたが、まぁいいかと車内に戻してやった。
マナの街ぐらいの規模なら、ハンターオフィス管轄病院を経由して最低限の埋葬措置は取れる。
朝昼の熱気にやられた分だけ腐敗が進んでも困るし、未知の細菌や汚染物質によるゾンビ化だって普通に起こりうる時代だけあって、急ぐに越したことはないだろう。

「まぁ悪い事ばかりじゃないさ、元気出せや?」
「他生の縁って事で街まで護衛するぜ、いいな?」
「はい、ありがとうございます。」

ボドーやタクスの言う通り、クリスは結果的にハンターとして模範的な行動を取っているのだ。
少しは救われた、そんな表情になったクリスがタクス達に頭を下げ、装甲トラクターの運転席に潜り込む…。

―そんなこんなでマナの街に無事到着―

「かくかくしかじか。」
「まるまるうまうま。」

クリスがハンターオフィス管轄病院で担当者に事情を説明している…。
流石にハンター向け施設だけあって多少は武装したままでも出入りが可能で、ここでもグラディエーターやら全学連なんぞと、時代背景の混在した闘士を見かける。
病院側も自重しない患者や、見舞客に化けたテロだとか死体のゾンビ化等の対応策として、それなりに兵力とクルマを配備しているぐらいで、赤十字マークの入ったメルカバは中々にシュールだ。

「つうかぁ?何でアタシまで付き合わされてんのよ?」
「まあまあ先輩?可愛らしい舎弟さんの為じゃないですか?」

形式的な証言者として置いていかれた仏頂面のグレイスをエレナが宥めている。
タクス達はお宝を売却するお仕事で、そういうのに不向きなこの二人を置いて行った訳である。
立ち話で世間話同然のゾンザイな取調べは既にクリスの無罪が前提で、ボンゴ兄弟のクルマや装備は(実質ガラクタばかりだが)正規に戦利品として認められた。

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