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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 78

車種から検索すると、ボンゴ兄弟なるハンターキラー容疑濃厚な二名のクルマ。
まだ手配がかからない程度の山賊稼ぎで、戦ってもギャラにはならない相手だ(ある意味でグレイスやエレナと近い)、が…。

「あら?ボンゴ兄弟の他に…さっきのチキンちゃんの信号が出てるんだけど?」
「えーとクリストファー…何某って長い名前、本名かコレ?」
「はぁ?てゆーか?何でそんな所に居てるのよアイツ!」

サクラとタクスが通信モニターを介して顔を見合わせ、車上のグレイスが素っ頓狂な声を上げる。
チキンちゃんもといクリス何とかいう少年、まさか山賊紛いの連中に騙されて手を組んだか、それとも犯行現場に居合わせて人質にでもなったか、いやもう既に始末されてBS端末だけの反応か?
多少見知った坊やだけに一同がどうしたもんか思案する中、グレイスが提案を出す。

「べ、別にアイツの為にやる訳じゃ、ないんだけど、ね?」

グレイスの案はハンターキラーを始末して山賊稼ぎの上前はねるついで、くれぐれもついででクリス某も助けてやっても、いいんだからねっ?という旨である。
わかりやすいツンデレ…と全員が思った。
「お前さんにしては妙に入れ込んでるな?」
軽く冷やかすような声音でボドーが言う。
「一応私も、元修道女だし…さ。」
よしよし…と意外にもタクスがグレイスの頭を撫で撫でしたところでサクラが意見を述べた。
「レーダーの輝点はマナまでもう少しの所、少しずつ接近しています。クリスさんがボンゴ兄弟に助けを求められて彼らのクルマを曳いているのか、クリスさんのクルマを奪ったのか、それとも誰かがクリスさんを捕まえたのかはわからないですけど、街中まで入られると厄介なことになりそうです。だから今すぐ追い撃ちませんか?」
「ずいぶん攻撃的だな?」
「長引いて夜戦になったり逃げられたりしてしまうと、街も近いだけにまずいと思います。」
ボンゴ兄弟の評判といえば『撃たれて逃げる奴はモンスター、逃げねぇ奴は訓練された人間タイプ』だそうで、疑わしきは撃てという、一応はもっともな概念でのハンターキラー容疑である。
ならば不可侵地帯である街に逃げ込みうやむやにされる前に、彼らのやり口通りに始末をつけてやろうではないか。
サクラの実家では『インガオホー』という理念に基づく『マッポー』の時代を生き抜く発想と奨励されていた。
大型バスを牽引する装甲トラクターが視認される頃にはざっと手順をまとめ、タクスがグレイスにゴーサインを出した。

「かしこまりましたぁ!ご主人様ぁ!」

カクテルが先行して、装甲トラクターの斜め後方に位置すると、車上のグレイスがグリースガンのカバーを開けて指を突っ込みコッキングする。
そして罵声を交えた威嚇発砲を開始する。

「待てゃゴルァ!オフェラ野郎!ケツメド野郎!」

どらららっ!どらららっ!ちゅいーん!(ひぎぃい〜?)
どらららっ!どらららっ!がきぃーん!(らめぇえ〜?)

.45口径の鈍器めいた乱打が砂塵に埋もれたアスファルトで火花を散らし、何割かがトラクターやバスの装甲を掠める合間、チキンもといクリス少年らしき悲鳴で彼の生存は確認出来た。

「クルルァ止めェ!メンキョ出せァ!オラァン?」

これで止まらなければ履帯を破壊する手筈だったが、ロクに装甲を施していないトラクターでは当たりどこ次第じゃ小火器程度でもヤバいと諦めたか、素直に停車してくれた。

「旧米軍型のM548…かな?」

本来野戦砲とその砲弾に使うユニック式クレーンに繋いだバスの重量に負けて、装甲トラクターは危なっかしく車体を軋ませ、その荷台から肥満体の黒人男性らしきモノが二つ、ドサドサと滑り落ちた。

「あれ?あれボンゴ兄弟か?サクラ?」
「ええ?特徴は資料と一致してますけど?」

タクスとサクラが車載CPUで確認をとったボンゴ兄弟は、首がへし折れ頭蓋の陥没した、戦闘というよりも事故死したのではないか、という状態の死体であった。

「えーとクリス君?ちょっといいかしら?」
「あの、えと、その、これは…。」

山賊まがいの連中にカチコミまがいの捕物を仕掛けた結果、随分と妙な雲行きになってしまった。
まさかサクラの憶測の中でも特に可能性が低い話、クリスがボンゴ兄弟を襲ってクルマを強奪したのか?彼の態度はどうにもハッキリしない。
いくら不良ハンター相手でも後ろ暗い話なのか、というよりも彼生来の性格なのだろうと察したサクラは、穏便な姿勢で呼び掛ける、が。

「出ろ(どん)!」
「ひぃいいい?」

抜刀した裁きの刃、斬奸刀を担いだグレイスがトラクターの横腹を蹴飛ばすと、クリスが情けない悲鳴を上げて運転席に縮こまる。
そして彼女は『チッ』と舌打ちするなり、クリスの首根っこ引っ掴みクルマから引きずり出した。
おいおい元修道女どこいった、ツンデレなんておらんかったんや。

「事と次第によっちゃアンタ『ドラム缶を押す仕事』だよ?」
「ふぇええ?しょんなぁ?これは事故なんですぅ〜?」

懲役を意味するスラングを交えたグレイスの恫喝で、クリスは慌ただしく事故の状況とやらを話し始めた。

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