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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 75

それでも構わずそこかしこのバリケードを避けもせず、片端から薙ぎ倒しダイナミックお邪魔します、して間もなくポルタのガゼルオープンカーを発見、射線を取ろうと焦ったあまり廃油溜まりに誘い込まれ、悉くスタックするレディバード。

ゆっくりできない茶番が終わる。

ハナから攻略ルートを誤り続けた強行軍で無理が祟り、機能不全で段差を乗り越え切れない。
脱出ままならないレディバードを、アンブッシュしていたストーンフィールド山賊団が包囲、ポルタ・グランデ団長が小さな会釈と共にガゼルの助手席から年代物のスピーカーマイクを取り上げるなり、言霊を放つ。

「君はご両親から教わらなかったかな、知らないおじさんについて行ってはいけません、って。」

くたびれた背広姿のナイスミドル、その抗弾サングラスの奥には輝きの失せた虚無の瞳、さらにその瞳の奥には安寧を失った男の、宇宙的狂気。
今ならポルタを殺れるか?いやクラッシュの繰り返しで車体前面7.62mm対人バルカンが動かない、125oライフル砲も20mm対空機銃もFCSの不調と車体姿勢不安定で俯角が取れずロックオン出来ない。
デイブが如何に無双の剣豪(のつもり)でもこの状況で下車戦闘はあり得ない。

「無駄な抵抗は止めなさい、ご両親を悲しませるな。」

ポルタの申し出に、彼は狂っているのかと困惑するデイブ自身も、恵まれ過ぎた生まれで負けを知らず勝てぬ戦いを知らず、怖い物知らずの世間知らずで降参という概念すらない一種のモンスターピアレンツであった。

「オワタシキ?」

デイブの何気ない発言を辞世の句と判断したか、ポルタが集中砲火を命じた、そこから先の映像は後続車のカメラ視点へ切り替わった。

彼等が見た物は集中砲火に爆発炎上するレディバード、その銃砲撃と爆発音はいつも通りデイブの抜け駆けオーバーキルによるそれだと信じていた、指揮車かつ最大火力の喪失による思考停止。

山賊側はリーダー同士の対話(?)で交渉決裂した以上、ポルタが指示を待つまでもなく以心伝心で既に配置転換を済ませ、デイブ私設警察の『残党』を殲滅にかかる。
私設警察側の残存車両三台も一般装輪車をベースにそれなりの装備、改造を施したテクニカルの中では上質な部類に入る。
迎撃プログラム対応火器、ロックオン警報や発射炎探知による回避ナビ、装甲タイル重ね着という三段構えで第一波を凌いだ辺りで彼等も漸く我に返り戦闘態勢に入る。

が、そこまでだった。

「ヤバイ状況ヤバイ系?バスのレーダー!情報共有?はよ!」
「はい、只今…」
「わかるし?今やらせてっから!つーか何お前仕切ってるしぃ?」

デイブの実況(?)は自分に酔った能書や命令口調以外だと、滑舌の悪いボソボソ声かハイテンションな奇声の両極端で、視聴者(タクス達)が『台詞』として聞き取れなかった。
対照的に彼の仲間達、他のクルマに乗った連中は中々に自己主張が強くやかましい。
そのくせ個々の主体性や役割分担に対する責任と信頼が薄く、さながら注文の多い我儘なドMの群れであった。
「ちょっと?喧嘩してる場合じゃないでしょ?こういう時こそ…」
「そーゆー芝居がかってるの?言わなくてよくね?可愛いと思ってんの?」
「………?」
「はぁ?貧乏人は心まで貧しいの?死ねばブス?」
「何なに〜?おっぱい要員のビッチが吠えるじゃん?」
「………!」

童貞のまま死んだデイブのレディバードと違い、こちら三台の助手席には三次元のコスプレ女子がオペ子についているが、クーガーの巫女服(赤)が偽Zの巫女服(緑)の気取った口調に突っかかり、一応バスガイド席のメイド服(青)は黙々とCPUに向かってはいるが、ガチ戦場でのサポートが出来る程のスキルは持ち合わせていない。

「あれ?アッチの二台急に静かじゃね?」
「つーかどこいったし?まさかの敵前逃亡?ありえねーしぃ!」

ここは広さだけならちょっとした町ほどもある採石工場、しかも通行可能ルートさえドライバーの山勘に頼るしかない、私設警察側は完全にアウェー、山賊側のホームで奇襲にトラップに予測不能の事故…。
既にクーガーと偽Zは自走不能になった所を乗員ごと始末され、最後の砦となった観光バスもまた、塗装の加減でドライバーに通路幅を誤認させるアーティスティックな罠に嵌り擱座。
壁に阻まれて車載火器が旋回不能、左右銃座の大半と前後の乗降ドアまで塞がれて、微々たる抵抗で緩慢な最期を待つのみとなっていた。

「上の銃座から白旗…女子がやれば多分?いきなりは撃たれねーし?」
「ちょ!そんなん誰がやんのよぉ?」
「では、私がっ…や…え…?」

装甲タイルを軒並み剥がれた破損部から小銃弾程度でも貫通弾が出始め、白旗がわりに使おうと防弾エプロンを外したメイドが被弾した。

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