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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 73

タクスのBSコントローラに『アリガトウゴザイマス』と簡潔に無記名のメール、チキンだろう。

「いやいや、こちらもお陰様で稼がせて貰えてますから?」

がつん!がこん!と二台のクルマに振動。
至近弾炸裂や砲弾片が目立ち始めるもCユニットのダメージ報告は軽微。
カバ側から100mmを越える砲撃はなく、その上チキンちゃん狙いで砲弾を消耗したと見え、砲撃は散髪的な物となっていた。

タクスは車体を斜めに、サクラは廃ビルの残骸を遮蔽物に取る程度。
多少の装甲タイルの犠牲で、クルマ本体へのダメージは易々防げた。

グレートカバガンよりタフネスで劣る普通のカバガンは次々と脱落。
生き残り十体を切った辺り、なけなしの砲弾を惜しみなくブッ放しながら、突撃姿勢に入った。
そこへ伏して接近していたソルジャー三人が側面を突く。

きゅぼぉん!ごばぁ!めらめらめら…!
タコやサルを遥かに上回る馬力と加速力を発揮される前に不意打ちを仕掛けた。
エレナの焼夷手榴弾が放り込まれ、グレイスがシバ焼き砲を最大火力で放射。
どれだけ肉体改造を施しても草食動物の性、炎に巻かれる精神的ショックで大半が怖じ気づいてしまう。

ぶぉおおおんっ!ぶぁあああんっ!続いて混乱するカバ達を縫うようにして、ボドーのミニバルカンが唸りを上げ、弱ったカバ達に止めを刺してゆく。

カバ達はどうにか反撃を試みるも身体の構造上、砲の向きは正面のみ。
高台を取っていた三人には反撃の術がなく、当初の目標だったクルマ二台の弾幕を乗り越える残存戦力もない…。

…きんこん…きんこん…

レンタルタンク半額徴収のチャイムが、戦いの終わりを告げる鐘か…屍累々。

タクスとサクラの車載レーダー機材と各々の目視やBSコントローラなどを用いて、周辺を警戒しつつドロップアイテム…いや死骸漁りを開始した。

「レンタルでも最近ヤークトシャーマンに愛着が出始めて、どうせ買うなら似た感じの…云々」
「シャーマンなら結構出物があるだろ…某々」

サクラがタクスと戦車談議を交わしつつ簡易ドーザーやウインチの類で、時には土工手掘りで慎重にカバガン達の火砲を掘り起こす。
カバガン系なら時として稀に120o越え大口径砲の鹵獲も期待出来るのだが、今回は精々が100o前後でしかもスクラップ、厄介な大型個体は主砲で爆発四散させてしまったので仕方ない。

「シャーマン系というよりも、操縦スペースに余裕のある自走砲…。」
「ああ、普通の戦車だとサクラおっぱいつっかえて動けなくなっちゃうもんね?」

土方をサボりながら口さがないグレイスのセクハラ発言に、一同は発掘アイテム『たたきやすいぼう』を拾ってくるなり彼女を囲んで叩く。


「巨乳で悪かったねっ!」
「きゃっ!痛い痛いっ!」

パシポカパシポカとひとしきり叩かれたグレイスが涙目になってあちこちさすっている。

「ところでシャーマン系として生産された車両は自走砲タイプでもオープントップの旋回砲塔型と密閉式で固定式戦闘室のと両方があるが…どっちがいい?」

叩き終えた後でボドーが言った。
サクラはちょっと考え込んでいる。

「レンタルタンクのお世話になるのは早く終わりにしたいよね。」
「だなぁ。儲けの半分持ってかれるのは正直…」

エレナがしみじみと言い、タクスも同意を示す。
ふと思い出して、ボドーも言った。

「そういえば…、皆に出会う少し前に見かけたんだがT69E3なんて変わり種もあったな。前方180度ほどの限定旋回砲塔を乗せた駆逐戦車で、なんかごく少数しか作られなかった幻の戦車らしいぜ?」

無論その現物が今はどうだかわからない、という旨をボドーは付け加えた。
T69E3…シャーマン系と同等かそれ以上のコストパフォーマンスで小型軽量化、重量バランスや後座スペースの都合で長砲身大口径砲の搭載は難しくとも、無砲塔型としては破格の広射界という柔軟性で十分に釣りが来る。

そうしてふむふむ考えているサクラにも一応は目を付けているクルマがあった。
みんな忘れているかもしれないオヤジの地下倉庫、タクスやグレイスと組んで出発する入れ違い、あの町に入ってゆくキャリアに積まれた『アレ』は噂の倉庫に運び込まれた可能性が高いとサクラは踏んでいた。
その時はさして気にも留めていなかったアレは、クルマいじりで食ってる者が何故気付かんのかと、後で思い出して歯噛みした。
シートに覆われた状態でもすぐわかる極端なまでの傾斜装甲とそこから突き出した長砲身、通称バルカンないしSタンクと呼ばれるStrv.103に間違いない。
独特な形状に加えて完全固定砲を車体制御だけで照準するという、見た目も内容もトンガリ過ぎた少数生産高級車だ。

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