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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 72

ボドー大先輩の昔話も何だかアレな話だが、モンスター時代のエレナにも組織と一匹兎の差別社会みたいなアレがあったらしい。

…だーん…だ〜ん…

どこか余所のハンターだろうか、旧式ライフルの懐かしい銃声に、少年兵時代を思い出したかボドーの渋面がほころぶ。
兎属性のエレナさえも評価する五感六感を有するグレイスは、確実にその姿まで捉えていた。

安価に再生されるモシンナガンか、いやエンフィールド辺りのボルト式ライフルで獲物を狩る少年。
エジプシャンと呼ばれる日除け帽で顔はわからないが、おっかなびっくりした風体。
彼が昨夜ひと騒動あった通称チキン屋でチキン野郎のチキンちゃんだとわかる。

「へぇ…あいつ以外と逞しいじゃん?」
「声かけてみるか?」
「やだ。」
「ま、別にいいけど。」

タクスとグレイスがキューポラごしに話していると、グレートカバガンの群がチキンに迫っていた。
チキンはアタフタと半端なくキョドりながら、本日の収穫らしい…結構いい値段がつきそうな脂加減の、マルデカルビ肉を投げつける。

・・・・・・

これなあに?と顔を寄せ、くんかくんか嗅いでいたグレートカバガンの群が、野生動物なめんなと冷め切った怒りの瞳でチキンを睨む。
現実は非情である、例えモンスター化しても、カバは草食動物である。

『きぃやぁあ〜?』

助平親父に尻でも撫でられた小娘が如き悲鳴を上げ、チキンちゃんが砲煙弾雨の中を遁走する。
もちろん肉類だか魚介だか野菜だかわからない、本日の収穫をみっちり詰め込んだズタ袋を担いだまま、カミカゼ級めいた駆け足であった。

「足速いな、アイツ。」
「生き残れチキン君。」

チキン君が必死に逃げ回る。
敵前逃亡の如きだらしなさにも見えるが、それを笑う者はいない。
生き残れるということはすなわち強さの源泉なのだから。
グレートカバガンの口の中、口径不詳の大砲があちこちに小さなクレーターを穿ち爆炎と土砂を舞い上げる。
慌てて一見滅茶苦茶に走り回っているのが却って功を奏したか、チキン君には中らない。

「あれだけ逃げ回れるってのもすごいな」
「おい、こっち来るぞ?」

nigeを行っているチキン君を狙う砲弾が土砂を撥ねageる。
ジグザグに走り回りながらも彼の姿がだんだん大きくなってくる。

「さーてと。やるか。」
「やるんですか?」
「稼ぎにはなるやな。」

ここで助けにゃ漢をsageるとばかり、タクス達も前進する。

「うわわっ?」

ちょろちょろと逃げ回るチキン君。
いつまでも逃げてんじゃねぇ!とばかりに、闘牛士を前にした牛の様にグレートカバガンが突き進む。

「もうチョイ…もうチョイ…」

タクスの耳に、自動装填装置が通常弾を装填する音が聞こえる。
周囲情報画面には、カクテルピッチャーと並進するヤークト・シャーマン、それにグレイスとエレナとボドーの動きも逐一映し出される。
タクス達も、とりわけクルマはとっくの昔にグレートカバガンの視界に入っているはずだがチキン君を追うのに懸命なのか、攻撃は全く来ない。
各々が自分の得物を手に構え、タクスとサクラはそれぞれクルマのCユニットが捉えたグレートカバガンに狙いを付ける。
カクテルピッチャーのCユニットの画面上で、一番突進しているグレートカバガンにタクスは照準を合わせると発砲した。
ボン!という音と共に超音速の砲弾が撃ち出され、グレートカバガンの1体の顔面で爆発が起きる。

マツチヨの一撃は若干オーバーキル気味で、グレートカバガン一頭目を粉砕した砲弾が貫通して二頭目の胴体にめり込み巨体を転がす。
ようやくカバの群がタクス達を脅威と判断した頃、ヤークトシャーマンの砲撃で体内の弾薬を誘爆させて三体目が爆発四散した。

「え〜とチキン君でしたっけ?戦闘区域から離脱したみたいです。」
「ヘタレらしい逃げ足ね。」
「あれぐらいの年頃はそれぐらい臆病で丁度いい、イキって死んじまったら何も残らん…。」
「死んだ人が生き返る研究だとか、都市伝説のお世話になりたくないですしねえ?」

サクラがレーダーで観測した報告に、手近な岩場で射撃姿勢を取っていたグレイスとボドー、そして手製爆弾を選び出したエレナが思い思いの答えを返す。
その間カバ達に22mmバルカンとビームランサーが浴びせられる。

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