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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 66

本音を言えばPPsh41、無理なら同じ.45口径で上位機種のイングラムかトンプソンが欲しい所。
だがどれも人気機種で高嶺の花な上に弾薬消費がグリースガンの倍近いのだ。
確かに人間装備も大事だがそちらは戦利品の分配か自腹、チーム全体としてはクルマ優先だ。

今の所タクスのAK47や.44マグナムは弾薬の備蓄は十分、銃本体も多少のパーツ交換でまだまだいける。
ボドーのミニバルカンやタクスとは型番違いの.44マグナムも同様。
また彼はミニバルカンが使えない時の用心で、トランクルームにバトルライフルやライトマシンガンも用意してあるという。

あれこれ講釈していたボドー先生の目線が窓の向こう、向かいの店から出て来た若手ハンター集団にそそがれた。

「まぁ随分と大所帯みたいだが、何人生き延びる事やら…。」

賑やかな二十名近くのリーダーはグレイスと近い白人系、ただし肥満体で男臭い鉢巻と迷彩服がはちきれんばかりだ。
一番上のリーダー格で二十歳前、下は十三〜十四歳といった具合で、如何にも冒険の旅に憧れて故郷から巣立つには十分な年頃を感じさせる。
装備やクルマのくたびれ加減は多少の経験を積んでいる様子。

ただしリーダーを含め全体的な雰囲気は『ひと狩り行こうぜ』気分なボンボンの群れに多少のお嬢が混じった具合。
多分その誰かの親元の下働きらしい二人、メキシコ系と黒人少年は素質がありそうだ、とボドーは見立てていた。
他はもう完全にピクニック気分さえ通り越し、大崩壊前の記録にある学生旅行かサークル活動めいていた。

ボドーにつられてタクスとサクラが見ているのは、彼らが親元のコネか金に頼ったであろうクルマ四台。

身振りからしてリーダーの愛車らしいTU89、通称レディーバード、作業車母体の米軍多目的装甲車(架空)。
他三台は一般車ベースのクルマだった。

偽パトカーっぽい黒塗フェアレディZのガルウイング仕様、アイボリー塗装のマーキュリー・クーガーらしきアメ車。
どちらもクルマ業界で『スポーツカー』と総称される分類。
そして野バスはAPC仕様に改造され、客席の装甲された窓に銃眼、簡易銃座が設置されていた。
ドライバーによるCユニットを介した銃砲撃とは別に、座席複数人の火力を得られる構造だ。

どれも共通していたのは装輪車の軽量シャーシに物を言わせ、積めるだけの武装と装甲タイルで固めるという、新人ハンターにありがちなクルマ。
クルマでの実戦経験が短いタクス、そしてレンタルタンク乗りのサクラにもわかる。

そんな若手ハンター達に、タクスやエレナやグレイスはほんの少しばかりの羨望を交えた視線を送っている。
タクス達が彼らくらいの頃にはにはクルマを都合してくれるような親元が既にいなかったから。

「ああいう人たちがクルマを壊すのよね」

サクラがいささか残念そうな口ぶりで言うと、ボドーの講釈が始まった。

「どこでも新人にゃ、「とりあえず生き残れ」って教えるもんだ。多少クルマ壊してもな。多少無様でもいいから生きて場数踏めば、度胸もついてくるし場慣れしてうまく状況を捌けるようにもなってくる。自分がハンター稼業に向いてるかどうかの見極めもつく。諦めが悪すぎる奴も早死にするけどな」

その言葉に全員が同意を示した。程度の差こそあれ全員が場数を踏んで生き残ってきた身であり事前に入念な教育や訓練を受けられたわけではないから。

そんな彼等の老婆心なぞ知らずか、知ったこっちゃないだろう若手ハンターのリーダーは、ハンターオフィスを通じて俺達の勇姿をupするだのと撮影まで始めた。
参考までに情報提供としてオフィス側は受理はしたが、公開の方は未承認や拒否を通り越して無視という名の保留であった。

「ニポンよ!目覚めよ!」

縦にも横にも幅広い肥満体型の白人青年が、腰のカタナと全体脂肪を揺すりながらカメラに向けてコトダマを放った。
イディオット、さながらこのマッポーの世に甦ったサムライめいた立ち振る舞い、どちらかと言えばオスモウであった。
そして海と陸との7対3がひっくり返った今の地球、どこがどの国だったか知る人間は少ない。
彼自身も己がどこの民族なのか、そもそもニホンがどんな国なのか、理解しているかも怪しい。

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