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METAL・MAX―征服の進軍―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―征服の進軍― 65

二十秒ぐらいして右の頬も左の頬も四倍ぐらいハーレルヤハレルヤした少年がピーピーピーピー泣きながらトイレから飛び出した。
マスターは先程と同様の端末操作を行っている。
一方グレイスはトイレから出ようとして小用を思い出し、そのまま男子トイレに引き返す…。

ータクス達のテーブルー

「何やってんだこの不良娘?そんな娘に調教した覚えはありません!」
「全力デコピン?大の男の指力で全力デコピンは止めて下さいご主人様っ!」

まあ当然の如く、タクスのお説教タイム執行中であった。
グレイスにしてみれば小銭を稼ぎ損ねた腹いせついで、シメた。
駆け出しの少年ハンターが強くなりたいと言いながら甘え切った態度が許せなかったのだという。

タクスの周り、ボドーとサクラは若気の至りだからと宥め、エレナは一応先輩の顔を立てる。

「まぁ…グレイスさんの言う事も一理ありますがねえ?」
「おお流石後輩!良く出来た後輩!」
「グレイスさん程度に素手ゴロで勝てない様じゃ…ねえ?」
「んだコラ雌豚…あだだだだ!折れる!良くできた先輩の腕が折れる!」

タクスのデコピン地獄から解放されて、調子に乗りまくっていたグレイスの腕がエレナに秒殺で捻られる。
エレナは武道経験こそないが、自家製の対戦車手榴弾を100m近く投擲出来る強肩の持ち主であった。

「豚じゃありません兎です、あと面倒がって男子トイレで用足す女が先輩名乗らないで下さい。」
「許して後輩兎!ちゃんと座る方で足したから許してぅえ〜!」

身から出た錆フルボッコのグレイスを一同で笑い倒した後、タクスが頭を撫でながら諭す。

「ちゃんと謝りに行けよ?」
「むきゅ…わかりました…。」

グレイスは『げせぬ』といった具合でむくれていたが、それ以上は皆も咎めはしない。

実際グレイスの弁解もエレナの皮肉も全くの冗談ではない。
多少の喧嘩は自力で捌け、体裁に拘らなきゃチャカだヤッパだ振り回す程度は何とかなる時代だ。
一人で出来なきゃ早いとこ頭数揃えるなり、頼れる兄貴分姐御肌を捕まえればいい。
最悪、土下座して有り金出してまた殴られた上にケツ掘られてでも生き残る。

純然たる実力だけが全てではない、生き意地の汚ささえも生き残る術だ。
まさにそのもの不良娘グレイスにとって、さっきの少年は甘過ぎると見えたか、不快な程に純粋な眩しさに目を背けたのか、わからない。

エレナも先輩後輩どうこうで突つっかかっちゃいたが、グレイスと似たような境遇でここにいて、幾らかの共感はあるのだろう。

人でなしの宗教ギャングと人じゃない山賊モンスター、どちらにせよ一般社会の敵だった者同士だ。
この店だってサイバーやバイオ手術の特徴を持つ客はちらほらいるし、全員が全員本当に人間なのかわかったモンじゃない。
仮に人でも犯罪歴を辿ったら尚更わかったモンじゃあない。

今更そんなモン気にならない中での人外枠、エレナはかなり優雅な部類に入った。
山賊時代から着た切り雀だった衣装は修繕ついで、人間防具の素材で改装されながらもバニー服姿という芸風は保っている。
完全に飾り物の猫耳メイド姿のウエイトレスが、店内販売の手押しワゴンを押しながら『本物』に驚くぐらいだ。
その様子を気にした風もなく、タクスはワゴンにあるだけのAK弾薬を買い求めた。
見知らぬ少年ハンターや仲間の過去より、今は品薄な弾薬の確保を優先した。

「お前らも自分で使う分の.45ACP、折り見て確保しとけよ?」

と古株ソルジャーのボドー大先輩。
彼が別の酒場感覚で抱き寄せているエレナを含めて、女性陣三名はそれなりに返事を返す。
ここまでの道中で分捕り品や掘り出し物、流れトレーダー等から三挺のM3A1グリースガンを予備弾薬やマガジン含めて調達し、彼女らに分配してある。
下車戦闘もあった訳で彼女らの特殊武器の死角、時折どうしても発生する真っ向勝負の撃ち合い。
以前まで二挺使い回してきたショットガンと、女性陣各自手持ちの拳銃がそろそろ寿命、という事情だ。

たまたま数が揃ったグリースガン、細かい事を気にしなければ信頼性は高い。
毎分400(毎秒7)発前後という遅い連射レートだが、ラフな環境に耐えうる信頼性の高いサブマシンガンだ。

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