METAL・MAX―征服の進軍― 50
でも用心は怠ってないようで、入口の左右に1人ずついる警備兵はバズーカを傍に用意していた。
「さーてと・・・・マナに来るのも久しぶりだなぁ。確か、改造屋やパーツショップはこっちだよな。」
航空機用の格納庫だったかと思える、カマボコ型の巨大な建物に足を踏み入れる。
ここは車両ごと入れるので、カクテルピッチャーとヤークト・シャーマンでそのまま乗り入れる。
「あったここだ。おーい。」
「あ?お客か?」
「ああ。この車両に見合うサイズの装甲砲塔って無いか?」
「随分でかい車体だな。ちょっと寸法測らせろ。」
タクスと共に、商人はターレットリングの寸法などを調べていた。
そして言った。
「これならいいのがあるぜ。こっちへ来な。」
タクスたちが車両から下りて、少し奥へ入る。
「おわあ・・・これは・・」
「かなり大きいね。」
「Type90とかいう戦車の砲塔だ。取り付けには多少の改造が必要だが、これなら可能だろう。そうだな、値段は・・・」
「ううっ!」
タクスたち4人は金額を見て驚いた。今までの稼ぎの大半が消える額だったのだ。
「そう驚かんでくれ。あんたらの持ってきたマツチヨキャノンの取り付け代金込みだし、違う戦車の砲塔を搭載可能にするってのは、ターレットリングから交換する大仕事なんだぜ。」
「マジかよ・・・」
ボドーがつぶやく。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
他の3人は言葉を発せず、金額を注視していた。
どうするよ・・・・CIWS辺りを買う金無くなるぞ・・・。 と、
タクスは悩み、
サイレンヤーボ倒せないじゃない・・・・・・。 と、
グレイスも困った顔になる。
・・・・。ちょっと改造代高すぎじゃない? と、
サクラは多少の憤りを覚えていた。自分の専門が改造ではなく修理であるとはいえ、クルマの技術的な事に関する知識は人より豊富なだけに、いくらなんでもこの金額は高く見積もりすぎているように感じていた。
ぼったくりじゃねえのかこのオヤジ。 と、
ボドーの表情には疑心が現れていた。
彼の場合メカ知識よりも年の功、この改造屋の人相を見ての判断であった。
「お…オレはクルマの事ぁ…ちょっとなぁ…。」
などとボドーは関係ないフリをして抜け目なく、何やらコンテナの間に迷彩シートのかかったコンテナを発見していた。
…90…とやらより一回り小せぇが…もしかして?…
ボドーが手持ちぶさたなフリをしながら爪先を鳴らし、タクス達にモールス信号を送る。
精々が『あっちに何かある』程度の意味合いで打ち合わせしたサイン…真っ先に反応したのはグレイスだ。