METAL・MAX―新たな軌跡― 42
微かにドウドウと足元を響かせる音と、穴から吹き上がる風が地下に大量の水が流れているのを物語る
微かに白い波が反射して水の流れの激しさを示す
「ツェット君!?返事をして、ツェット君!」
誰も応答しないインカムはスーッという音を立て続けるだけだった
携行閃光弾を投げ込み、穴の中を照らすがガソヘッドもメイドも見えなかった
「ツェットく〜ん!!」
その叫び声に誰も答える者はいない丘の上をつむじ風がメイドの下着の破片をかき集める様に駆け抜けて行った
眩い閃光に目を覚ます
あたりを見回すと光が殆どない空間
腰から下は水に浸かり、上半身が奇跡的に岸に上がっいた
明かりは急激に衰え、闇に包まれる
明かりを見てしまったせいで帰って闇が濃くなった
どうやらメイドに引き釣り出される途中に穴に落ち、戦車から放り出されてしまったようだ
ツェットは辺りを見ようとしたが絡みつくままの指で首が動かなかった
「ヒッ!?」
慌てて引き剥がそうとしたが動かない
パニックに陥り掛けるが、メイドがうんともすんと言わないのに気づく
「死んじゃったの?」
恐る恐る突っついてみるが反応が無い
「とにかく、水から上がらないと」
真っ暗闇の中、手探りで水から這い上がる
途中岩場にメイドが引っかかると、首を引っ張られる
ツェットはそのたびメイドを抱き上げ、ようやく落ち着ける川原らしい広場に着いた
「はぁ、はぁ…」
引き摺るために抱き上げていたメイドを首が引っ張られないようにおろす
(微かに駆動音がするからまだ生きてるみたいだ。重たかったって言ったらやっぱり失礼なのかな?けど、やわらかかったな…)
相手は機械でそして敵なのに何故か気遣ってしまう
(本物の女の人もこんな柔らかさなのかな?)
暗闇の中で抱きしめていた感触を思い出す
ムクムクと起き上がる欲望とムスコにいけないとは思いつつ、メイドの胸を揉んでみる
むにゅ・むにゅ
そしてあることに気づく
メイドの体が温かいことに。そして自分の体がどんどん冷えてることに
…ふと…メイドに身を預けてみる…抗弾素材を含んだシリコンの皮膚は、触れれば押しただけ窪む…マシュマロの様な弾力で応える…。
可能な限り生身の女性に近いその感触にツェットの理性は…。
「って違ぁう!」
渾身の力を込めてメイドの指を引きはがす。
「ぷはぁ…!」
首をさすりながらポケットからライトを探り出しスイッチを入れる。壊れていない事に安堵しながら足元を照らしてみた…。
だらしなく開かれた太股の奥…水分を含み海草のように萎れた茂み…うっすら赤身がかった、新鮮な生肉を盛り合わせたような亀裂…。