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METAL・MAX―新たな軌跡―
官能リレー小説 - 二次創作

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METAL・MAX―新たな軌跡― 31

B級映画の中から飛び出したような派手な男が立っていた。

金髪アフロのマッチョなタフガイ…縦横に走る疵。
「FU!!」
ビキニ姿にグラサンかけた美女を抱きよせディープキス。
着崩したラメ入りの作業ツナギ、ガンベルトには二挺スパナ…。

「キ〇ガイなら帰って下さい。幻覚の類なら消えて下さい。」
「俺はツェットさ!人生勝ち組、FU!!」

キチガ〇だか幻覚だか知らないが…彼は人生勝ち組な未来のツェットであると主張する…。
ツェットもとりあえず彼…『勝ち組ツェット』の話を聞いてみる事にした…。
…古い友人か何かの様に語り合う二人。
「お前さん…ハラは決まってるんだろう?」
「これからも…無頼の輩を相手にしなきゃいけないんだ…。」
うなだれるツェットに、勝ち組ツェットは葉巻きを吹かしながらふんぞり返る。
「そう!悪人共を千切っては投げ!!」
あんな女子供相手に強気なだけのチンピラすら…どうにもできなかった。

「僕には…そんな真似できなかった…。」
「自分は優しすぎる男だとでも…Oh!お前は何処の聖人君主だ?!」
大袈裟なリアクションで嘆く勝ち組ツェットにただ唖然とするツェット。
「わかってる…お前は誰が何と言おうがヤる男さ…。」
「・・・(うわ〜根拠ねぇ)。」

だがツェットは、この男に(ファッション以外)不思議な共感を覚えていた。

…メカ職人だのという人種には理詰めよりも(そんなのハナから持っている)、根拠のない自信を与えるのが良いだろうか?

「男は常に…クールに、そしてワイルドに…!!」
そして勝ち組ツェットは美女をお姫様だっこで抱え窓から身を乗り出す。

「え…ちょっと!?」
「アディオス!!」

追い縋るツェットに窓から吹き込む一陣の風…男の姿はない。
あるのは赤錆びた荒野…霞んだ地平に沈みかけた夕陽…。

窓枠にかけた指に力が篭る…理由なぞどうでも良かった。ずだ袋に片っ端から荷物を放り込む…。

「ツェットぉ!」
姉、マジンガだ。心配して具合を見に来たらしい。

「何処に行くんだいっ!?」
鬼の形相で怒り狂う姉。

「あんな目に遭ってまだ…。」
「こんな時代…何処に居ても危険に変わりはないじゃないか?」
ツェットはあくまで冷静だ、マジンガは身を震わせ泣き崩れた。
「姉さん、お元気で。」


そして振り返る事なくガレージへ…。
「…ガソヘッド…。」
ツェットは誰にともなく、いや目の前の戦車に呼びかける様に呟く…古い映画のタイトルにあやかった名前だった。
ベースは三号突撃砲A型…12歳の誕生日、スクラップ置き場で見付けたコイツは物言わぬ赤錆だった。

薄暗いコックピットに潜り込む。

キーを捻ると、低いエンジン音と共にCユニットが作動…半年かけてレストア、改造を施した鋼の機体に魂が宿る。

ツェットが短砲身75mm砲の作動を確認していると…よぼよぼよぼ…と工場長のじーさまがモニターに映った…ハッチを開け顔を覗かせる。

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