METAL・MAX―新たな軌跡― 109
壊れた油機の様に流血する股間を押さえて蹲り…白服を朱に染めながら、砂上でしなびてゆく童貞オ〇〇チンに手を延ばす…。
「遅刻だぞっ!パーティ仮登録くん!!」
ノエルは闇からの声の主を一喝。
着衣と装具を申し訳程度に直し、マントを腰巻きして下半身を隠す。
彼の名は『ブレード』…おっちょこちょいだが腕は立つ…ようやく追い付き助太刀に馳参じていたのだ…。
「なに…遅れた分は…。」
…ぴゅ…ばきゃ…どさっ…
遠距離からライフル弾で頭蓋を砕く音…ツェットの居た方角だ。
二秒半遅れて銃声が轟いた。
『総員!下車戦闘っ!!』
周波数を合わせたままだったインカムから、黒騎士のとっつぁんの渋いバリトン…。
「黒騎士のダンナとその他大勢も…おっついたみてぇだ…やるぞっ!!」
闇に紛れた改造カタナに跨るブレード。
「仕切るなっ!!」
怒鳴りつけながらもマグナムを抜き、ターレットスタンスで移動射撃の構えを取るノエル。
『何だ今の銃声…ヒィ?』
だだだだんっ!
「オラオラオラっ!かかって来やがれニート野郎共っ!!」
…その他大勢の中に居た、軍曹ぽい男の絶叫とサブマシンガンの銃声。
豪快な様に聞こえるが、地味にホフク前進と腰の低い早駆けを繰り返しノエルの脇をかすめる。
後ろでは、縛り上げられたツェットの縄を引き千切るアンドロイドの姿が…応急修理だけで来たのか、所々皮膚の色が違う。
『畜生!ニートの癖に射撃はいっちょ前だ!!』
『待ってな…ぱかんっ!(狙撃)…機銃は潰した!!』
『どたばた…うおらぁ!タンクレンジャアレェッド!!ぼぐしゃ(ハンマー)』
少々乱戦気味に無線の声が交錯する。
斥候の人数はさほど多くない…多少の軍事訓練は受けている様だが射撃場レベルか。
訓練で学んだこと以外がおこると後は脆かった
生き残りは役目を忘れて我先に逃げ出した
黒騎士の号令下、数個班が追撃戦を開始する
うまく行けば本隊を見つけられるだろう
反撃が無い一方的な追撃にノリノリになる奴と慎重になる奴で隊が伸び、そして二つに別れる
「ツェット君、大丈夫!?」
【大丈夫?】拷問(タマ蹴り)をされた人に随分といい加減な質問をしてるのを口に出してから気付く
「はい…大丈夫です」
息も絶え絶えで返事するツェット君もかなりいい加減かもしれない
介抱のつもりなのか斑顔のアンドロイドが戒めから解かれてうずくまるツェット君の腰を優しく叩いていた
(タマ蹴りの応急処置プログラム?)