METAL・MAX―新たな軌跡― 11
肉の塊の両端から飛び出す骨を逆手に握り、かじりつく口から引き離す
ミシミシと音を立ててやがて千切れる
ビチャ
勢い余ってテーブルの皿を叩くとタレが向かい席のシンバットの肉にかじりつく顔に飛び散った
「あ、ごめん。ワザとじゃないから」
それだけを言うとノエルは再び肉にかじりつく。食べる方が大事だった
シンバットは肉にかじりついたままこめかみを数回痙攣させる
「お〜い、やめとけよ」
ボウイは前もって釘を刺しておく
「ふん…何をやめておくんだ?こんなことに仕返しでもすると思って…」ベチャ
「あ…」
さすがにノエルもマズイかな?と感じるが再度謝るとまた食べだした
「まぁ、マンモ肉は固いのが売りだし、汁ぐらい飛ぶものよ」
「ああ。全くだ。テーブルマナーの知らない小娘なら尚更だな」
シンバットの言葉にボウイは「アチャ〜」と額に掌を押し付ける
「そうね〜でもマナー云々言うならホンモ肉(本物の肉)出すお店に誘って欲しいものね〜」
今度は生野菜を手掴みで頬張りワシワシと食べる。嫌みに嫌みを返すとろくなことにならない
だからノエルは投げられた嫌みのベクトルを受け流し、そのままシンバットに投げ返した
「その辺にしとけよぉ…。」
火花散るイヤミ合戦に…ボウイは挙動不振にカウンターの奥を気にしている…?
「そうだよ…イーカゲンにしなよアンタ達ぃ?」
さっきまで静観をキメ込んでいたアモウもどこか弱気で、やはりカウンターの…奥の方を気にしている。
「だったら年上に対する口の聞き方を知らないヒネたガキ黙らせてよ。」
「うるさい、お前が黙れ…ハンター歴は俺の方が先輩だ。お前らも何とか言って…ん?」
ふと気が付くとボウイもアモウも居ない…?お代を残して忽然と…。
「あれ…アンタの保護者二名は…?」
…で〜ん…でんでんでん…
「変だな…食事の度にリーダー払いとか抜かすアイツ等が…?」
…でけでん…でけでん…(東映)
砂ザメの時と同じく…いや、それ以上のプレッシャーをかもし出しながら『それ』はカウンターの奥…厨房から顔を出した。
「んまぁ〜っ!あっらヤだ!」
はち切れんばかりの割烹着…紫パーマに三角布を巻いた…。
「あっらヤだ!あっらヤだ!最近のコドモは本当にぃ!親からどんな躾受けてんのぉ?!あっらヤだ!」
大怪獣!食堂のおばちゃん!!(下町系)
ノエルとシンバットはとっさに銃に延びそうになる手を押さえる
「全く、最近の若いのって…中略…
食事中に多少の会話はオバチャンも叶わない調味料だけど、いつまでもベラッベラベラベラベラベラ喋りっぱなしで
ご飯だって固いから全然噛まないで丸飲みしちゃってるし…中略…
見てみなさいお皿の周りなんて二人ともンマァ〜ポロポロポロポロ食べこぼしちゃって
〜以下略〜」
周りの人は料理を頬張るとそそくさと食堂を出ていき、今では従業員とオバチャンを除くとノエルとシンバットしかいない
オバチャンマシンガンは終わらない