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胸に秘めた思い
官能リレー小説 - 同性愛♀

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胸に秘めた思い 4


まさか…私のラブ光線にヤラれて発情してしまったのだろうか?
そんなもの出した覚えは無いのだが。

「えっと、はい」
そう言って差し出された右手にはキラリと銀色に光る何かがあるようだ。
チョコレートかな。バレンタインデーはだいぶ前に終わった気がするけど。

受け取って確認すると、中には百円玉が四枚。
これで今晩の私を買うということだろうか?
いくらなんでも安すぎやしないだろうか。
いやそうじゃない。
売春なんて私のポリシーに反する。
どういうつもりか問い質さなければ。
「これはどういう―」
「ごめんなさい。細かいのが無くて。お釣り分は持ってきて貰った分ってことでいい?」

え。
完っ全に忘れてた!A定食分のお金かぁぁぁ!!
「あ、うん。こっちこそごめんね」
あらゆる意味で。

変な勘違いをしたものだから何だかこっちが落ち着かない。
みずきはそんな私の挙動を気にもせず「いただきまーす」と言って箸をつけている。

仕方ないので私もそれに倣うことにした。
「いただきます」
手を合わせて短く言ってからレンゲでスープを飲む。
ここのうどんは熱過ぎず温くもない適温なので、うっかり大量に飲み込んでしまっても大丈夫なところがまた素晴らしい。

しばらくもくもくともぐもぐしていると、みずきがいたずらっ子のような表情でこちらを見ている。
なんだろう。うどんのスープでも顔に付いていただろうか。
「とっかえっこしようよ」
なんとA定食だけでは飽きたらず、私のうどんまでも手込めにしようと言うのだ!
手打ちに致すっ!
「いいよー」
だが色んな物を食べることに異論はない。
ありがたくみずきの要求と定食の味噌汁を飲むことにした。

あつい。
決してみずきがそばに居るからハートが熱いだとかそんなんじゃない。
純粋に熱い。

うどんが適温だから味噌汁も適温だと思い込んでしまった自分を殴りたい。
「ふふ、間接キスだねっ」
それがしたかったのかーっ!
新手の嫌がらせかと思ったー!
今はそれどころじゃないけど。

いや、でも落ち着いて考えると結構恥ずかしいぞ?
間接キス自体じゃなくて、昨日の直接キスを間接的に思い出してしまうという点で。
そう考えるとだんだん顔も熱くなってくるわけで。
口の中も熱いし顔も熱いしで…って、これが俗に言う温暖化現象かぁぁぁっ!!

いや、落ち着こう。
このままではみずきの思うつぼである。
なんとかして優位に立たなければ――


「ご趣味は?」
これではお見合いではないか…何を言っているんだ私は。
「なぁに急に?」
けたけたと面白そうに笑うみずき。
絵になるなぁチクショー!

「今日うちくる?」
しまった違う。いや本音を言えば違うくないけど。
「えっとほら、まだお互い知らない事多いからゆっくり話したいなーと」
「あはは、何慌ててるの?いいよ。別に」
え、嘘。らっきー!
「そんなあからさまに嬉しそうな顔されても複雑なんですけどぉー?」
だって嬉しいもん。
「じゃあメアド交換しよう!」
いそいそと紙に書く用意をするが、肝心の紙がなーい!
トイレじゃないのに紙がなーい!

「どっちから送るー?」
いや何を。
アドレス知らない状態でどうやって送ると言うのだろう。
まさか念力で送る?

それはまた別のデンパではないのか。
「赤外線付いてないの?もしかして、使い方分かんないとかー?」
ニマニマしながら携帯でつついてくるみずき。
たまらなく可愛いが、あらぬ疑いをかけられたまま捨て置けまい。
「分かるに決まってんじゃん。暇さえあれば赤外線飛ばしまくりだし」
「どんないたずらよそれぇー」
指をさされて笑われてしまった。
しかしめげない!
「じゃあ私が送るから、帰るときメールしてね」
ふふふ。これで私が優位に立ったはず!

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