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胸に秘めた思い
官能リレー小説 - 同性愛♀

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胸に秘めた思い 3

そう、そうなんだよ。
昼休みと言えばお昼ご飯。お昼ご飯と言えば食堂。
そうなると必然的に色々な人に会う確率が高くなるわけで。
そんな時に限って、出来れば会いたくない人に会ったりしちゃうわけで。

「あっ、こ、こんにちはっ」
これだよ。
何でちょっと頬を赤らめながら挨拶してくるかなーこのみずきちゃんはっ!

「コニチハー」
片手をキザっぽく軽く上げ挨拶を返そうと思ったけどめっちゃ噛んだ。
噛んだとゆーか声もちょっと上擦ってしまった。
心臓が早鐘を打っているのは気のせいだと思いたい。

「あの、一緒に食べてもいいですか?」
この子はいきなり何を言ってくるのだー!
不整脈で死んでしまうわー!

「いいけど、別に」
ははは。心と裏腹な態度が憎い!今日の定食は焼肉定食か!?
肉い…肉いぞぉぉ!


いや、何を言っているんだ私は…まず落ち着こう。
吸ってー、吸ってー、吸って…っていつ吐くんじゃい!
「だ、大丈夫ですか?顔赤いですけど…」
そりゃそうだ。
息を吸ってばかりいたら酸欠になる。
いや、酸欠なのかな?
過多?酸過多?そう、我が名はサンカタ!
いや、とにかくあらゆる意味で苦しい事に間違いは無い。
けど、本当の事なんか言えるわけない。吸いまくってましたとか意味わかんないし恥ずかしすぎる。
「大丈夫」とだけ短く答えて、支えようとしてくるのを制する。
あれ、もしかしてお触りチャンスをフイにした?

今からでもよろめいてしまおうかな、なんて考えたけど、一緒にお昼ご飯というイベントも捨てがたい。
よし、後でよろめいてみよう。
今はお昼ごっ飯♪
こんな可愛い子とだぞーグフフ。
羨ましがってひれ伏せ男どもめー!
「あの、大丈夫、ですか?」
明らかに怪訝な表情でみずきが見ていた。
ちょっと妄想しすぎました。ごめんなさい。
そりゃ変な顔になるよねー。体調悪いの無理してるような表情になっててもおかしくないよねー!

本当にごめんなさい。
「大丈夫。それより、何食べるの?持ってきてあげよっか?」
せめてもの償いだ。
むしろ持ってこさせて下さい。
「え?いいんですか?」
「いいのいいの。トレイ一緒の方がスペース確保しやすいし」
何ならトイレも一緒にしちゃう?ってギャグは全力で抑え込んだ。
「あ、じゃあA定食でお願いします。席取って待ってますね」
男A定しょ…いや何でもない。彼には興味もない。

「ほいさー。じゃ、ちょっと待っててね」

手をひらひらさせながら受け取り口へと向かう。
みずきに会ったらどうなる事かと思ってたけど、意外と何とかなってて良かった。
今日のA定食はエビフライかぁ…昨日はなんだかんだで食べ過ぎたしな…よし、今日はきつねうどんにしよう。

A定食ときつねうどんの食券を買い、食堂のおばちゃんに手渡す。
「はいよー!ちょっと待ってねー!」なんて威勢良く言った後、凄い早さで食器に料理を盛り付けていく。
私はこの早業を見ているのが好きだ。
一日中見ていても苦じゃないだろう。


ごめん嘘。
そこまで好きじゃない。
「お待ちどうさまー!」
ささっとトレイに乗せるとすぐに次の作業に移る。やはり手練である。
「どもー」なんて軽く言って座席の方へ向き直る。

さってと、あの可愛い子ちゃんはどっこかなー?
食べちゃうぞー!

お昼ご飯を、だけど。

「ゆうさーん!こっちですーこっちこっち」
声のする方を見ると窓際で立ち上がり手招きするみずきが居た。
ほほう…なかなか良い席を取るではないか。

ただ…ちょーっと遠いかなー?

気付かなかった私も悪いが、これ、意外と重い。
汁物があるから変に力入っちゃうし。
いや、これはみずきとの(一方的な)愛を育むための試練に違いない!




言うほど大変じゃなかった。
バランスの取り方のコツさえ掴めば割と簡単なものである。
いや、これはみずきとの(一方的な)愛を育めとの思し召しに違いない!
ありがとうお言葉に甘えます。

「はい、どーぞ」
トレイから自分の分だけ取り、トレイごとみずきに渡す。
「ありがとうー!」
今日もみずきさんまぶしいっすねー!


そんな事を思っていたら、みずきが何かもぞもぞしだした。

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