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胸に秘めた思い
官能リレー小説 - 同性愛♀

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胸に秘めた思い 2

「皆ごはんってもう食べたの?」
みずきはそんな私の対応を特に気にする風でもなく、至って普通に質問をぶつけてきた。

「適当にその辺のつまんでるよ」
しかし…のっけから食事のことを気にするのか。どうなんだろうそれは。
「そうだったんだ…じゃあコレもらっちゃおー」
そう言って目の前の唐揚げをつまむと、幸せそうな顔で食べ始めた。

ハムスターかっ!ってくらい頬を膨らませて唐揚げを食べるその姿に、本日二度目のノックダウン。
小動物を愛でたくなる人の気持ちが分かった気がした。
ちょっとあざといかなーとは思うものの、動きがコミカルで可愛い。
いかんせん、油のついたその手であちこち触るのはご勘弁願いたい。

「ああー、そこはダメ」
みずきが顔にかかる髪をのけようとしたところでつい手が出てしまった。
きょとんとした顔で見てくるが気にせずハンカチで手を拭いてやると、満面の笑みで「あ、ありがとうっ」と言ってくる。
ま…まぶしいっ!

あまりの可愛らしさに気恥ずかしくなって視線を落とすと、唐揚げの油で光ったこれまた形の良い唇が目前にあった。
私はその唇に引き寄せられるように近づいていき…




気付いたらキスをしていた。
「えっ?」
目が点になっている。恐らく私も同じ顔をしているのだろう。
幸い角の方に居たから周りには気付かれずに済んでいる。
「ごめん」とだけ告げると、私は火照った顔を隠すように下を向いてその場から去った。

そこからは頭の中がぐちゃぐちゃで、何で同性相手にあんなことを、だとか、唇柔らかかったな、だとか、心臓が妙に痛い…などと考えているうちに、いつの間にか自宅に着いていた。

アルコールは飲んでないけど足下がおぼつかないし、家族からの呼びかけもどこか遠くに聞こえてくる。
何だか疲れているようだから今日はもう眠ろう。





朝だ。全国的に朝。
寝る前に頬をつねっておけば昨日の出来事が夢だったかも知れないのに。

お母さんが昨日の私の様子を心配したのか、珍しく朝食がハニートースト。
甘いものが頭の回転を速くして悩みを早期解決っ!という考えなのだろうか。
よく分からない気遣いだけど感謝しておこう。
「ありがとう。ごちそうさま」
軽く手を合わせて出掛ける支度をする。

「いってきまーす」
昨日のことは悪い夢と割り切ろう。
あの子にばったり出くわしても、酔ってたの一点張りで何とかなるはずだ。一滴も飲んでないけど。

アレコレ考えているうちに昼休みになった。
この調子なら何事もなく一日を過ごせそう…ってそううまく行くはずもないよね。
「ゆうちゃーん!昨日何で帰っちゃったの?」
男Aめ。こちとら一世一代の悩みを抱えとるんじゃー!
「母方の旦那の娘の乳が帰宅だったので。ごめんあそばせ?」
こういう時は訳の分からない事を言って逃げるに限る。
男Aは指を折りながら私の胸部まで思考を巡らせようとしている。
いやだいやだ。私が言った事とは言え、このような変態さんからは早く離れなければ。

後ろでちょっと待って!なんて声が聞こえるけど幻聴に違いない。
お昼ご飯をゆっくり食べる為に、私は幻聴を無視し、食堂へと優雅に向かうことにした。

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