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胸に秘めた思い
官能リレー小説 - 同性愛♀

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胸に秘めた思い 12

ふふー、なんて言いながら嬉しそうな顔でトコトコと付いてくるみずきを部屋に案内し、衣装ケースを引っ張り出しておく。
「お風呂入れてくるから好きなの選んでてね。気に入るのあるか分かんないけど」
「はーい」
衣装ケースの中身に興味津々なみずきを尻目に、お風呂場へ向かうべくマイルームを後にした。
何の変哲も無いお風呂だけど、世間一般の皆様に少し誇れる程度の広さがあると自負している。
無論、私が建てたわけじゃないんだけど。
湯張りスイッチを押して蛇口を捻る。
湯が溜まったら自動で止まるという優れもので、溜まるとピーピーうるさいが割と便利。
バスタオルを脱衣所の乾燥機からかっぱらい、それとなく畳んで洗濯機の上に置いておく。
後はみずきと一緒に着替えを選んでいるうちに湯張りが終わるという算段だ。
ついでだからジュースと氷、グラスあたりを部屋に持っていっとこう。
うちの父親が飲兵衛なので、氷を持って行くのに適した容器があるのは僥倖だ。
まさかジュースごときの為に酷使されるとは夢にも思わなかっただろう。
アイスペールとか言うらしいがそんなの知ったこっちゃない。今のあんたはジュースの為に奉公に出る、しがない容器に過ぎないのだから!
と何だかよく分からないことを頭の中で呟きながら一式をお盆に載せて部屋に向かった。
部屋に着いてまず思ったことは、ドアが開けられないということだ。
「おーいおーい」
父親が母親を呼ぶときにこんな風に言っていた気がする。
気分は飲兵衛なのだから、こんな言葉を使ってしまうのは致し方ない事。間違いない。
「ぷぇっ!?」
聞きようによっては球状にしたチョコレートのお菓子に設定されたマスコットキャラクターの鳴き声に聞こえなくもない声を発するドア越しのみずきに対し、なんだその返事、と必死に笑いをこらえながら要求を述べる。
「手が塞がっちゃって、開けて欲しいんだけどいい?」
「びっ、くりしたぁ……いきなり声かけるんだもん」
前もって声かけるよー、と声をかけておけば良かったのだろうか。
でもそれだと永遠に予め声をかけておかなければならないという大変な事態に陥ってしまうので困る。
あらかじめを通り越してがんじがらめになってしまう。
あ、私今うまいこと言った!
「これとこれ、かわいいからどっちにしようかなーって迷ってたんだー」
ピンク基調の白の水玉パジャマと、黄色と白のマーブル模様のパジャマを手に持ち眉間に皺を寄せるみずき。
「両方持って行って上がる時の気分で決めたら?」
下着はどれがいーかなー。
「それいい! ゆうさん天才っ!」
いやーそれほどでもー。あるけど。
「下着はどんなのがいい?」
上機嫌でスマイルを決めつつみずきに問いかける。
「えっ、下着は流石に申し訳ないなぁと」
「へーきへーき。気にしないでいいよー」
「じゃあコレ!」
みずきが指さしたのは白に小さいピンク色リボンが付いたショーツだった。
迷いがなかったところを見るとお主、こっそり選んでおったな?
全然いいんだけど。
「お風呂入るときに下着も含めて洗濯機に入れといてくれたら洗っておくから」
あ、でもブラはワイヤー痛めるかな? ネットを用意しておこう。
「でも乾かないんじゃ……」
「ウチの除湿器マジ半端ないから。一時間もあれば乾くよ」
「ありえなーい! 嘘でしょ絶対!」
目を見開いて抗議するみずきを手で制しつつ、ウチの除湿器が如何に半端ないかを講義する事にした。




そして、講義が終わったものがこちらにあります。
「まだ半信半疑だけど……熱意に根負けしました」
「うむ。良きに計らえ」
なんとか理解を得られたようだ。
どのみち使ってみれば嫌でも分かるし。
そんなことより講義に熱が入り過ぎて喉が渇いてしまった。紅茶でも飲もう。
「みずきも飲む?」
「飲む飲むー」
ついうっかり呼び捨てにしてしまったが気付かれ無かったようだ。
「好きなの自分で注いでね」
そう言うと、みずきは「うーん」と唸りながら飲み物を物色し始めた。
「なんだったら混ぜてもいいけど」
「混ぜないしっ!」
全力で否定された。
面白いと思うんだけどなー。
様子を窺っていると、おもむろに掴んだのはオレンジジュース。
どれだけオレンジ好きなんすかみずきさんっ!
申し訳程度に入れた氷が沈むグラスに注ぎ終わって、さあ飲むぞと例の如く両手で持って口元に運んだところで、はた、と何かに気付いたように静止した。
いや、何も怪しいものは入れてませんよ?
「もうくすぐらないでね」
うらめしそうにこちらを見やりながら言い終わると同時くらいにコクコクと飲み始めるみずき。
それは前フリか!? と思ったが目がマジなのでやめておいた。

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