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胸に秘めた思い
官能リレー小説 - 同性愛♀

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胸に秘めた思い 11

お勧めは全部混ぜたオレンジサイダーティー。と心の中で言いつつ返答を待ちかまえる。
「オレーンジ!」
一瞬の静寂の後、洗い物に視線を落としたままのみずきから元気の良い返事が来た。
「氷は? 入れる?」
「んー、2〜3個お願いー」
キュッキュキュッキュとスポンジと食器の擦れるリズミカルな音を奏でながらみずきが答える。
私はグラスに氷を入れる音で了解の意を伝え、そのままオレンジジュースを注いでいった。
トポトポとわくわくするような音をキッチンに響かせつつ、自分は何を飲もうかなんてことを思案する。
同じものでもいいけど何だか今日はサイダーの気分。氷を入れまくってサイダーに氷が浮く様を眺めて楽しもうかな?
オレンジサイダーティーに挑戦する気力は残念ながら今の所無い。お勧めしといて申し訳ないけど。
「洗い終わったよー」
手の水気を払いながらそう告げるみずきに、失礼ながら洗い物は大丈夫なんだな、なんてことを思う。
むしろ失敗したのは私か。いやどうだろう、まぁいいか。
「ありがとう。それじゃ、そのまま置いといて。後でしまっとくね。はい、これどうぞ」
しまっとくのは母に丸投げしようと思う。
洗い物をしてくれた感謝の意を込めつつ、オレンジジュースのグラスを勧めた。
「はーい、いただきまーす」
両手でグラスを持ってコクコク飲む姿に胸がときめいたのは内緒だ。
妙に熱い顔をごまかす為に、私もそれにならってサイダーをちびちび飲むことにした。
炭酸は好きだけどちょっとだけ苦手である。
「ひょっとして炭酸苦手?」
先にオレンジジュースを飲み終わったみずきが痛いところを突いてくる。
くそぅ、炭酸さえなければっ……!
そうなのだ。炭酸がこれほどまで清涼感がなく、そもそも飲み物に二酸化炭素を混ぜようなんて発想する人がいなければ、オレンジジュースみずきに私サイダーが負けることなど無かったと言うのに……っ!!
「いえ、平気ですし」
「何で急に敬語なのっ」
「拙者、不器用っすから」
言われて困るゾーンを的確に突いてくるみずきに私こと拙者はしどろもどろでござる。
「意味がっ……分からなっ、すぎるぅー!」
ゲラゲラ笑い転げてそんな事を言うみずき。
それは何か? 勝利を確信した者だけに許される高笑いとか言うやつかっ!?
「透明な容器にあつらえられた透明な空間に浮かぶ透明な物体……風情があるであろう?」
仰々しくグラスを指さして自分でも訳の分からないことをのたまう。
「いえ、意味不明ですしっ」
私の物真似をしながらの突っ込み。しかし笑いすぎで呼吸が心配だ。
ちょっと悪戯心が湧いてしまい、みずきをくすぐって呼吸困難にしてしまおうなんて考えが浮かぶ。
頭ではダメだダメだと思うけど体が思うように動いてくれないのだ。
「やっ、ちょっ、だめぇーっ!」
だからみずきが私の腕の中で悶え苦しんでいるのは私の所為じゃない。
「わきっ! 弱いからぁーっ! ひぃんっ!」
良い声で鳴くのぅ……苦しゅうない。
「ひゅっ、ふぅっ! いき、できなっ……!」
苦しゅうないのだっ。
背後に回って羽交い絞めにしていたので、顔を見ようとするとどうしても密着した形になってしまう。
何が言いたいのかと言うと、途切れ途切れの吐息が首筋にかかって理性がやばい。
だらしなく口を半開きにしているみずきの口元から涎がこぼれ落ち、それが上気した頬と相まってたまらなくエロい。
このままでは昨日の二の舞になってしまう。
もしかすると昨日よりも強い衝動に駆られているかも知れない。
その口元から零れる体液を舐め取って咥内で絡め合う妄想をしてはかぶりを振って、しかし間髪を入れず舌と舌を絡め合うキスをする情景が目に浮かんでは、靄がかかったままの頭で理性を総動員し何とか欲求を抑え込む。
葛藤に次ぐ葛藤の連続で頭がおかしくなりそうな頃、ふっと体温が離れる感覚があった。
荒い呼吸のまま恨めしげにこちらを見るみずき。
それを見て自分の拘束が妄想で緩んでいた事に気付く。
少し残念だが、コトに及んでしまう前で良かった。
やっぱり人間欲望に忠実に動いたらダメだと思う。
私が言えた義理ではないが。
「ごめん。ちょっとやりすぎた」
「ほんとだよー! あっつーい、汗かいた……シャワー浴びたいー」
思わず本音が出たのかシャワーを所望。
妄想が加速するので勘弁していただきたいが、このままでは帰ってしまう恐れもある。
飽くまで下心をひた隠しにしてタオルや着替えの用意をシミュレートする。
「あっ、ごめんね。ずうずうしいよね?」
その不安げな顔だけでご飯三杯いけますっ! でもお腹一杯。
「いや全然っ! むしろ私が悪いんだしっ!」
あと主に夏日のせい。
「じゃあちょっとだけ我慢して部屋で待っててくれる? お風呂の用意してくるから」
「えっ……でも」
「どうせだから入っちゃいなよ。なんだったら泊まってく?」
それによって着替えがパジャマかちょっとだけカッチリした服にするかが変わるのだ。決してやましい気持ちがあるわけでは――。
「いいのっ? わぁ、お泊まりってわくわくするよね。お言葉に甘えちゃおっかなぁー」
予想外にノリノリで嬉しい限りでございますのことよ?
興奮で文法が大変な事になっているが許せ。
「それじゃあ部屋案内するね。ジュース後で持ってくからそのままでいいよー」
と台所のドアを開き廊下へと手招きした。

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