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スケイルス海での出来事
官能リレー小説 - 同性愛♂

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スケイルス海での出来事 4

この時、レルツは重大なミスを犯していた。前方に全く注意を向けていなかったのだ。
司令官といっても、海の経験の無い単なる下っ端兵士に過ぎない。
このような初歩的ミスが起きるのも仕方がないことだった。
前方から突っ込んでくる小型船を視界に捉えた頃には全てが手遅れだった。
追われながらも統制は取れていた船の列が乱れ、巨大船ともぶつかりそうになる。
しまった、挟み撃ちか?とレルツは考えたがそれは間違いだとすぐに気づく。
前方から突っ込んできた船は海賊団「引波の群青」のものだったからだ。
やたらと格好良い名前の彼等は穏健派で人に危害を加えたことがない。
正確にはあまりにも間抜けすぎてすぐに逃げ帰るからだ。
しかも構成人数も少ないらしく10人居るかもわからない、と噂をされているほどだ。
そんな彼等が大型船を囮に使えるとは思えない。
現に彼等はこちらに大砲を突きつけているが、その大砲は旧式で撃てるかすらもわからない代物だ。

彼等は空気も読まずに投降勧告をしてきた。イライラを誘発する行為と彼等の船についたボロボロの旗に、レルツは呆れた。
彼等を見方にし、大型船に供えるしかないだろう…
さて、どう話しを持っていくだ…
一旦物資を渡すのもいいが、それだと俺らを置き去りにして、さっさと退散してしまうのは分かりきっていた…
どうにか彼等をつなぎ止めておける手段はないものだろうか?
ここが陸の上だったとしたならば、酒に女でそう出来ないこともないだろが、生憎ここは海の上…葡萄酒なら物資の中にたんまりとあるのだが、女に関してはお手上げだった…

小型船の上には、大砲を操作している者を含めて3人しか居なかった。船内には2人居るかどうかといったところ。
大砲担当がリーダーらしく、赤い兜の様なものを身に付けている。
彼等の顔色が青に変わる。迫り来る巨大な船にようやく気が付いたのだ。
「やはり、引波の群青は仲間ではなかったか…」
レルツは納得した。だが状況は悪い、彼等が突っ込んできたせいで巨大船とは接触寸前だ。
レルツの載っている船にも暗雲が掛かり、冷たい雨が甲板を濡らしていった…
もはや猶予など無かった…
一刻も早く引波の群青の奴らを仲間に引き入れなければ、命の保証はないのだ…
取りあえずは酒だけで、なんとか話しをつけるしかない…
男所帯の此処に、女気などあるわけもないのだから、捨て身で頼み込むしかないのだ…

覚悟を決めたレルツは白旗を高々と掲げ、引波の群青船に向かい両手を広げた…

「引波の群青」はそれに気づいた様だが、逃げるのに精いっぱいという感じだ。
こんな奴等が役に立つのか?並走しつつ巨大船から逃げ惑う。
レルツはあえて船を寄せてみる。相手が混乱しているので横っ腹に衝突しかねないが…。

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