PiPi's World 投稿小説

スケイルス海での出来事
官能リレー小説 - 同性愛♂

の最初へ
 12
 14
の最後へ

スケイルス海での出来事 14

小型の旧式海賊船は大質量の体当たりにたやすく歪んでしまう。大砲の弾薬が転がり、机の上の干物が跳び跳ねる。
もはや、乱交どころではない。
海賊が転げ回り、レルツを吊るすロープは切れた。無事なのは座り込んでいたイザークのみである。
かなり危険な状況なのだが、レルツは一瞬だけ「邪魔が入ってくれて助かった」などと思ってしまう。
ファーメリアの軍人にはあるまじき楽観的な考えだ。
それでももはや一刻の有余もなかった。
海賊たちが狼狽えているのを確認すると、レルツは船縁まで猛ダッシュする。
勃起した肉竿が走るのにこんなにも邪魔な存在なものなのかと、思い知らされながらも、レルツはソレを握り船縁に脚を掛けた。
「イザーク!!」
振り返りイザークを呼んでも、イザークはそれに答えなかった。
答えるどころか甲板に1人寝そべり、勢り勃った欲望を、自らの手で懸命に扱きたてていた。
「イザーク…お前にはここでの性活の方が、合っているのかもしれないな…」
レルツは寂しそうにそう言い残すと、荒れ狂う海原に向け身体を大きく傾けた。

ドボォォォォン!という大きな水飛沫を上げ、レルツの身体は海深くと沈んでいった。
泳ぎは得意だった。
それでも嵐のように荒れる海流に身体を取られ、泳ぐどころではなかった。
く、苦しい…
水面までにはまだかなりの距離があった。
浮上しようと必死でもがくが、体力を奪われるだけだった…
ち、畜生…
頭上に見える黒い影…あの巨船だった。
その横でオレンジ色に揺れる光…レルツの載った船から上がる炎だった…
『持ち場を離れた司令官への罰か…』
遠くなる意識の中で、レルツは自分の浅はかだった行動を今更ながらに後悔した…

意識を失ったレルツを巨大な二枚貝が挟み込む。
どういうわけか中に酸素すらあるそれはまるで脱出挺のようだった。
レルツのモノに螺旋状に触手を絡め、しっかりと体を固定する。

それに比べ、船に残った海賊の方は騒がしかった。
悪運強くなんども大破を逃れていた小型船は衝突であっさりと半壊した。
カメレオンの舌のように黒い霧が流れ込み、射精寸前の下半身を包み込む。
「なんだ…体が抜けないぞ!」
黒い霧の表面を叩きながら赤兜は悲鳴をあげる。
徐々にその身体を飲み込んでいく黒い霧をイザークは呆然と眺めた。
カランと赤い兜だけが、ひび割れた甲板に落ち、傾斜に転がり水面に落下していった。
うわぁぁ!!…
1人残されたイザークは甲板を這えずるようにして逃げまどう…
しかし黒い霧はイザークを襲うことはなかった。
な、何故だ?
その不可思議さを疑問に思いながらも、助かったことに安堵せずにはいられなかった。

その間も漂う黒い霧がイザークの身体に纏わり着くや否や、その身体を避けるかのようにして向きを変えていく…
あの海賊たちと自分が違うとすれば…?
イザークは自身の身体をなぞる…
その指には今し方自慰で発した精液が、ネットリと絡み付いてきた…

SNSでこの小説を紹介

同性愛♂の他のリレー小説

こちらから小説を探す