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霧に包まれたコロシアム
官能リレー小説 - 同性愛♂

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霧に包まれたコロシアム 9

洗脳と強化の具合を見届ける、霞のように白い人影があった。

純白のフードとマントにすっぽりと身を包み込んだその人物の右腕が静かに手招きをすると、7人の獣の覆面達の元から、透明な水がまた小さな蛇のようにくねりながら、ひとつの流れとなり、招いた右手首にまるで水晶の腕輪のように絡み付いた。
「準備は整いましてございます、卿」
秋風に揺れる枯れ枝のようなか細い声が、白フードの影から染み出して、相手を緊張させる。
「い、いつもながら見事な術よな?…白蛇、い、いやあ、アルビオンよ」

うろたえながら愛想笑いをする中年貴族に向かって、アルビオンは静かに頭を下げるのみ。

「これで、あの皇子を塔から"逃がした"裏切り者を追う手筈は整った訳だな……あの爺いめ、よりによって、あの忌まわしい廃墟に隠れたあげく、大事な皇子を食人花に奪われるとは……まあ、この国随一と言われるお前の呪術があれば、皇子の奪回はもちろん、あのにっくき王妃を失脚させることも造作無かろう」
「………」
まるで白蛇のようなたたずまいを崩さぬまま、アルビオンは貴族男の独り言を聞き流し、再度右腕を降るって、あわれな7人のしもべを目的地にいざなうのだった。

話は再びコロシアムの廃墟に戻る。

結局、石像達の様子はロータスの念視によって探られる事となった。
あまり便利でない能力なのだが、コロシアムの中ぐらいならどうにか見る事が出来る。
ロータスは意識を集中させる。だが、見えるのは巨大な蕾だけだ。
それは一般的な花の様に微動だにしない。更に意識を集中させたロータスは凍りついた。
蕾の中では粘液にまみれた石像達が乱交を始めていたのだ。
筋肉質な肉体が股間から花粉を出しながら絡み合う様子は刺激が強すぎた。
ロータスは興奮を覚えた。屈強な男達の絡み合いを見るのは初めてだったからだ。
体に似合う長い物が引き締まった尻を貫き、橙色の花粉を放出する。
そんな行為が先程まで自分が眠っていた粘液の中で行われている。
男たちの行為に独り心を震わせる皇子であった。
だが、そうした同性同士の営みが存在するといった程度の知識こそあれ、ロータス皇子自身の嗜好は同性に向いているわけではなかった。
老成した、同年代の少年らと比較すると遥かに大人びた皇子ではある。しかし、王位継承権を剥奪された上に幽閉され、さらには皇子の美しさに目が眩んだ老人に拉致され、あげくはこのような廃墟にすまう花の怪物に閉じ込められてしまった。

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