PiPi's World 投稿小説

霧に包まれたコロシアム
官能リレー小説 - 同性愛♂

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

霧に包まれたコロシアム 1

「逞しい男を求む」アドルウスの元に届いた手紙は、こんな直球の内容だった。
いかにも怪しいのだが、アドルウスの闘争本能を燃え上がらせるのには十分だった。

数時間後
「えーと、コロシアムはここで良いのか?」
アドルウスはコリント式兜に似た兜と革のブーツ、それから赤いビキニだけを身につけてうろついていた。
コロシアムに着いたのだが、どうも雰囲気がおかしい。
受付も居なければ、歓声も聞こえてこない。遠くに自分と同じく手紙を見て来たであろう者が歩いているのが見えただけだった。格好も自分とよく似ていた。
罠の可能性も考えたが、敵意は感じなかった。
よくわからないまま入り口から入った。先程見えた男も同じく入っていたらしく、やはりアドルウスの先を歩いていた。
筋肉質な背中とオリーブグリーンのビキニが薄暗い通路で際立って見えた。
不安を感じたアドルウスはその戦士に話しかける事も考えたが、見失ったので特に追わなかった。
その男に聞いても同じだろう。多分わけがわからないままにここを歩いているのだろう。
そうこうしているうちに声が聞こえてきた。コロシアムで戦闘が始まったのだ。
顔を向けると先程のオリーブグリーンの者がこちらに背中を向け戦っていた。
相手も同じ戦士の様だが、色がおかしい。全身灰色だ。
相手は石像だった、石なのに生物みたいに滑らかに動いている。
こんな兵器、流石に公には出来ないな…アドルウスは勝手に納得した。
確かにこんな兵器が量産されればとんでもない戦力になる、隠すのも当然の判断だろう。しかし、その推測は違っていた。

その石像は単調な動きだったが、オリーブグリーンの戦士をじわじわと追い詰めて行く。
そして、首をはねた…ように見えた。
確かに彼は倒れ込んだが、血は出ていなかった。首も折れていない。
例え剣に刃が付いていなくてもこの大きさの石で思いきり殴られればただでは済まない筈だが…?
気を失った戦士はこれまた石の戦士に運び出されていく。
「飛び入り参加してあいつを壊してみるか。勝たなきゃなにもわからない」
しかし、参加しようにも受付や門番の姿は見えなかった。
「勝手に参加しろ、て事なのか?」
アドルウスは混乱してきた。石の兵士という新型兵器を扱うにしては管理が雑すぎやしないか、そんな思いがある。
口封じにアドルウス達を殺す可能性もなくはない。だが今も明確な敵意を感じない。
そんな危険な事を考えながらも、アドルウスの足は中央の闘技場に向かっていた。
コロシアム全体が雄を奥へ奥へ誘い込む構造になっているのだ。
彼は自分が誘いこまれている事にようやく気が付いた。
なにかが、おかしい。それでももう引き返す事は出来なかった。
戦いたい…、あの灰色の兵士と…。闘志に火が付いて、股間が疼く。
これまで無数の男達が、得体の知れない力で動き回る石像に挑みそして一方的に追い詰められ敗北をして行ったのだろう。
どうなっても良いから全力で戦いたい。例え彼等と同じ事になっても。
とにかく滑らかに動き回る石像とやらをほおっておく事は出来なかった。
アドルウスは闘技場に飛び込んだ。

実は戦わずにすぐ引き返したとしても意味は無かった。彼が入った入り口は、まるで最初から無かったかのように消えていた。
結局コロシアムの中央を横断しなければ、出る事は出来ないのだ。
まるで巨大な食虫植物だ。アドルウス達はその口の中で踊る。

SNSでこの小説を紹介

同性愛♂の他のリレー小説

こちらから小説を探す