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無法学園
官能リレー小説 - 同性愛♂

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無法学園 71

原田が果てたのはそれからすぐのことだった。
「こんなもんかな。ふぅ、撮影終了です」
その声をきっかけに撮影の片付けが始まる。
原口はシャワーを浴びるためにシャワールームに案内され部屋を後にした。
撮影陣は機材を片付け終わるとさっさと退室していった。
残ったのは橋田と一輝だけだった。

ぐったりとしている一輝へ橋田が近付く。
一輝は朦朧としながらもその巨体を見上げた。

「よォ…終わったぞ。」

一輝は何も答えずそのグラサンの顔を見ていた。
いつものように睨みたかったが、自分の表情がそうなっていないことに気づいた。
それは疲れ果てている体力的な面のせいなのか、それとも橋田へ対する不思議な気持ちのせいなのか分からない。

「…後始末だ。シャワーを浴びるぞ…。」
「…くっ…」

ふらふらとその身体を起こす一輝。力が入らないようだった。
その華奢な腕を橋田が掴む。

「…っ!さ、わんなよ…」
「立てるか?」


橋田の触れ方はこれまでとは別人のように優しく思えた。
戸惑いながらも立ち、シャワールームへと向かう。
その途中、橋田がぼそりと呟いた。

「頑張ったな」

何かの聞き間違いかと一輝は橋田を見るが、その強面は相変わらずだった。
今の言葉は本当にこの男が発したものなのか。
これまでの橋田からは想像もできないトーンだった。


シャワーを浴びている間も橋田はシャワー室の外で待っていた。
普段ならここでまた一輝に欲望を叩きつけに来るような野獣なのに。

「そういやお前と初めて顔合わせたのもシャワールームだったよな」

外でそんなことを言っている。
別に手を出してくることを期待しているわけではないし、それをされたらますますこの男を軽蔑するだろう。
しかし何で何もしてこないの?
その巨体で。あの巨根で。いつもなら…。
「ハッ」と我に返る一輝。何を考えてるんだ。


身体に纏わりつく汚れを洗い流し、一輝は外へ出る。
ふわっとバスタオルが被せられた。急だったため危うく足を滑らせそうになった。

「っ、びびったぁ。何すんだよ!」
「ふっ、悪い悪い…でも元気、戻ってきたみたいだな」

初めてだった。橋田がこんなふうに笑ったのは。
一輝が初めて見る橋田の顔だった。

服も整え、全てが終わった。

「もう…帰っていいんだよな?」
「ああ…終わりだ。」

ぶっきらぼうに答える橋田。

一輝はついに思い始めていたことを切り出した。
原口に凌辱されながら考え始めていたこと。

「あのさ」
「何だ?」
「またああいう奴の相手させられることもあんの?」
「…まぁ、客がお前を望むならな。」
「…前に一回言ってたじゃん?もし俺がアンタの…」
「……」
「…あんたの物になれば、ああいう奴の相手しなくて済むんだよね?」
「一輝…?」
「あんたがさ、もうちょっと優しくしてくれるなら俺…」

橋田の耳にはそれから先は聞こえなかった。
橋田も自分の気持ちにやっと気付いたのだ。
言いたいことだけ言って部屋へ戻る一輝の後姿を、ずっと見つめていた。


・・・・・・・・・・・・・・・


夏休み、それはここ無法学園だけじゃなく全国の学校も休みということ。
つまりいま街には子供たちがあふれているということ。
そしてそれを狙う変質者も湧き出るということ。

無法学園校長室

「今年もこの時期が来ましたか」
「ええ、あなた達のお仲間が全国でうじゃうじゃと湧いていますよ」
「で、今回連れて行かれる子達のリストです」
「ふふふ、ここの生徒は変質者を釣るいい餌ですからね」
「ええ、それがアナタたち警察関係者からここを“黙認”することの条件ですからね」
「私は今でもこの学園を潰したいんですがね」
「かつての学び舎なのに?」
「ここにはいい思い出がありませんから」
「………」
「毎日が地獄だった。特に地下で行われたあれは…。話を戻します」
「ええ、それがいいでしょう。それとこれを」
テーブルの上にアタッシュケースが置かれそれを開くとびっしりと札束が詰まっていた。

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