無法学園 66
橋田の言葉に一輝は黙ってしまった。もちろん素直に納得はしていない。
しかし、橋田の言葉がいつもより響いていたのだ。
いつも自分を性のはけ口として扱う男が、今日は少しだけ違って見えた。
「や、やだ…オレ…」
「一輝、やれ。」
柳沢の握力と無言の威圧、そして橋田の鋭い眼光に一輝は諦めを感じていた。
数分後、一輝は着ていた服を脱ぎ始めた。何度か犯されるたび裸同然にはなるのだが、それでも羞恥心はある。
日に焼けたしなやかで綺麗な裸体をすぐ隠そうと、女物のパンティを取る。
屈辱的で、気を抜くと涙が出そうだった。
清潔的なホワイトの柔らかい生地が一輝の股間を包み込んだ。
「ブ…ブラなんて分かんない…」
すると後ろにいた柳沢がそれを手伝う。
生まれてこの方、胸など隠したこともないのに一輝の身体にはぴったりと女性物のソレが纏われた。
そしてブルーのスカート、上着。
ついこの間まで元の学校で見ていた「女子」の格好だった。
「…ミホ…」
ぽつりと呟く。
「似合うじゃねえか。一輝。」
橋田の声で我に返る。
端正な顔つきで、まだ強張っていない筋肉。無駄な毛が一切無い顔と、綺麗に揃っている頭髪。
長めの睫毛と色素が薄めの唇。
「少女」となった一輝は、それぞれが想像していたものよりもはるかに上を行く仕上がりになっていた。
橋田だけではなく、周りの男たちもその姿に欲情が湧きあがるほどだった。
そんな一輝を見つめ口の中で小さく「チッ」と舌打ちをし、橋田が言う。
「さて、もうすぐ客が来る。撮影準備はいいか?一輝、お前はこれから時間が来るまでここから出られん。覚悟を決めろ。」
「…なにされるんだよ?」
「いつも俺がお前にしているようなことだ。…せいぜい綺麗に映るように頑張るんだな。」
「変態ヤロー…」
睨んでくる一輝の目を最後に見つめ、橋田は機材の裏へ引っ込んでいった。
柳沢もそれに続き、教室の中心には一輝だけが不安そうに取り残されていた。
やがてカメラを扱い始める男たち。
「じゃ今から撮るよー」
「10秒前………3・2・1!」
えっ?という表情でそちらを見つめる一輝。
照明も当てられ、撮影が開始されたことを知る。
どうしたら良いか分からずただ呆然と立ち尽くす一輝。
その周りにカメラたちが近付き、上から下から様々なアングル撮影を始めたようだった。
そしてしばらくして突然教室のドアが開いた。
そこから入ってきたのは、男子物のブレザーに身を包んだ男だった。
薄くぼさぼさの髪や髭と汗で滲むワイシャツ。制服は着ているが明らかに学生と呼べる年齢ではない男だ。
「ああ…ああああ!!本物だ!本物の一輝キュンだ!」
「えっ、えぇ…」
その凄まじい容姿に一輝は言葉が出ない。
「画像で見るより一億倍可愛いよ!可愛いよ一輝キュン!!はぁああ〜…そのカッコマジでヤバイ!イきそうだよーー!!」
そうやってじりじりと近づいてくる原口。
一輝は後ろへ一歩二歩と後ずさる。
まさか、この男が相手なのか…。
原口は獲物に飛び掛かる肉食獣のように素早く一輝のそばへ駆け寄った。
後退しようとする一輝の身体に乱暴に抱きついてきた。
「ひっ!」
「うはああああああああ!一輝キュンだ一輝キュンだ!スゲーーーいい匂いだぁぁぁぁぁヤバイ!!これマジヤバい!!ww」
原口は一輝の首元に顔を埋め、その少年独特の匂いを吸い込んでいた。
一方の一輝はフケのような物が舞う後頭部を目の前に、あからさまに嫌悪の表情を示す。
「やっ、やめろ!!やめろーーーっ!!」
原口を突き放す一輝。全身に鳥肌が立っていた。
突然のことにあっけなく崩れる原口。その表情は驚愕していた。
「はぁ…はぁ…」
一輝はこの撮影をやめてくれと橋田の方を振り返った。
同時に後ろから突き飛ばされ、うつ伏せに床へと倒された。
そして背中に圧し掛かる体重。原口だった。
「どうして?一輝キュン?どうして嫌がるのさ…?」
「やっ、やめろっ…」
スカートの上からその小さな尻を揉み、股間を擦り付けてくる男。
「ひひっ、照れなくていいんだよぉ。僕ら今から愛し合えるんだ。たっぷり愛してあげるからさぁ…」
「はなっ…、離せ!やめろよ!!!」
抵抗しようとしてもがくが、もう原口は動かない。
一輝のうなじに顔を埋めながら、腰を卑猥に擦り付けてくる。
「そっか、一輝キュン、カメラがたくさんあって緊張してるんだよねw大丈夫だよ、僕が守ってあげるから!
一輝キュンの可愛いところ、いっぱい撮ってもらおうよ。
僕と一輝キュンが赤ちゃん作ってるところをいっぱい撮ってもらおうよww」
「そ…んなん…ヘンタ…あああっ」
原口は腰を動かしながら一輝の尻の穴の方へ指を進めていった。